気まぐれ仔牛

広い広い野原があった

そこに一匹の仔牛がやってきた

仔牛は、気まぐれにくねくね曲がりながら、その野原を歩いて行った

翌日、ウサギがやってきて、草が踏まれた跡をピョンピョン跳びはねて楽しく通っていった

その翌日は狐がやってきて・・・・

そしてその翌日は、狩人に追われた鹿がやってきた

鹿は、草が踏まれた跡を一目散で逃げていった

狩人もそこを通って鹿を追って行った

草は踏みつけられて、はっきりと曲がった道が出来た

ある日、羊がやってきた

その曲がりくねった道を、「なぜこんなに曲がっているんだ・・」とブツブツ不平を言いながら通って行った

そして、旅人が通り、村人が通り・・・・

月日が流れて、その道は曲がりくねった大通りになった

家々が、その大通りに沿って建てられた

そして大都会の中心地になった

鉄道がしかれたが、それも道に沿って曲がりくねっていた

前例なるものは、これほどまでに尊ばれる・・・

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