トガリバアカネトラカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トガリバアカネトラカミキリ族の一種です。茜色の斑紋と、その名の通りやや尖った上翅の先端が特徴とされています。広葉樹の枯死木や伐採枝、各種の花によく集まる姿が見られます。

2015年4月 東京都八王子市高尾山


基本情報
| 体長 | 6.9~13.2㎜ |
| 分布 | 北海道、本州、伊豆諸島(大島、新島)、粟島、佐渡、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 | シラカン、スジダイ、ケヤキ、モミなど |
| 成虫出現期 | 4~6月 |
観察と撮影後記
トガリバアカネトラカミキリは、低山地から標高1,500m付近の亜高山帯まで広く生息する普通種です。一般的には花や貯木場で頻繁に観察されますが、2020年には東京都町田市で「黒化型」が確認されました。この黒化型は、かつては伊豆半島などに局所的に生息する形態として知られていましたが、近年では内陸部でも記録されるようになっています。標準的な茜色の個体から地域的な変異個体まで、観察の楽しみが多い種といえます。
学名について
トガリバアカネトラカミキリ / Anaglyptus niponensis Bates,1884
1. 属名:Anaglyptus (アナグリプトゥス)
ギリシャ語の「ana-」(上に、再び、強意)と「glyptos」(刻まれた、彫られた)に由来します。本属の種が持つ上翅や前胸の点刻、あるいは立体的な彫刻的構造を指しています。本種は指名亜属に分類されるため、亜属名も Anaglyptus となります。
2. 種小名:niponensis (ニポネンシス)
ラテン語で「日本の」を意味します。「Nippon(日本)」に、場所を表す接尾辞「-ensis」を組み合わせたもので、日本から最初に記載された種であることを示しています。
3. 命名者と年号:(Bates, 1884)
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者であり、擬態の一種である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: “Longicorn Beetles of Japan.” Journal of the Linnean Society of London, Zoology, 18: 205–262. (1884)
和名の由来
上翅が赤褐色(茜色)であり、トラカミキリの仲間であること、そして翅端が尖っている(トガリバ)という形態的特徴を組み合わせて命名されました。
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