トラフカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トラカミキリ族の一種です。スズメバチに擬態した黄色と黒の鮮やかなコントラストが特徴とされています。平地から丘陵地の桑(クワ)の樹幹や、その周辺の畑などでよく見られます。

基本情報
| 体長 | 15.8~27.2㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、伊豆諸島、粟島、佐渡、四国、九州、対馬、五島列島、種子島 |
| 食草・寄生植物等 | クワ、ヤマグワ |
| 成虫出現期 | 7~9月 |
観察と撮影後記
トラフカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トラカミキリ族の一種で、スズメバチに擬態した斑紋が特徴です。かつては里山の桑畑に行けば容易に見られ「畑のカミキリムシ」という印象が強い種でしたが、近年の養蚕業の衰退に伴い、ホストとなる桑自体が減少したことでその姿を見かける機会も少なくなっています。
学名について
トラフカミキリ / Xylotrechus chinensis kurosawai Fujita, 2010. stat. rev.
1.属名: Xylotrechus (シュイロトレクス)
ギリシャ語の「xylon(木)」と「trechos(走る者)」に由来します。木の上を素早く動き回るトラカミキリ類の生態を端的に表しています。
2.種小名: chinensis (キネンシス)
「中国産の」を意味します。本種が最初に中国の標本に基づき記載された背景に由来します。
3.亜種名: kurosawai (クロサワイ)
日本列島の個体群を亜種として区分した際、日本の甲虫研究に多大な貢献をした昆虫学者・黒澤良彦博士に献名されたものです。
3.命名者と年号: Fujita, 2010
命名者:藤田 宏(ふじた・ひろし)。日本を代表するカミキリムシ研究者であり、長年にわたり昆虫専門出版・研究の拠点である「むし社」の代表を務めました。本亜種名の「kurosawai」は、元国立科学博物館研究員であり、日本の甲虫学、特にタマムシ科やカミキリムシ科の研究において世界的な功績を残した故・黒澤良彦(くろさわ・よしひこ)博士に献名されたものです。記載文献:”The Longicorn Beetles of Japan.” Mushi-sha Iconographic Series of Insects, 4: 1–848. (2010)※本個体群はかつて原名亜種と混同されていましたが、2010年に藤田氏により独立した亜種として記載・再定義されました。
和名の由来
「トラ(虎)」のような縞模様がある「フ(斑・模様)」を持つカミキリムシであることに由来します。
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