セスジヒメハナカミキリ基亜種は、低山地に生息するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科の一種です。上翅に明瞭な黒褐色の縦条を持つのが特徴で、ヒメハナカミキリの中では早く出現するもののひとつ。複数の亜種に分かれるなど変異に富むグループとして知られています。

基本情報
| 体長 | 5.5~9.0㎜ |
| 分布 | 本州(東北中北部以南)、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 | 未知 |
| 成虫出現期 | 3~7月 |
注)ヒメハナカミキリ属(ピドニア)を写真のみで完全に同定することは、本来非常に困難です。本記事では図鑑の記述に加え、採集地や個体の雰囲気を総合して判断しておりますが、あくまで参考程度にご覧ください。もし明らかな誤りにお気づきでしたら、お手数ですが[こちらのメール]までご連絡いただけますと幸いです。ご協力に感謝いたします。
観察と撮影後記
セスジヒメハナカミキリの分類について、本種は分布域によって複数の亜種に整理されています。本記事で扱う基亜種(P. a. amentata)は本州、四国、九州に分布するものを指します。
一方で、本州北部から北海道にかけて分布する個体群や、粟島亜種(P. a. awashimana)、佐渡亜種(P. a. sadovittata)など、島嶼部や地域ごとに細かく分かれているのが現状です。ヒメハナカミキリ属(Pidonia)は、種内変異や近似種との差異が極めて僅微なケースが多く、野外での目視のみによる正確な同定には慎重な判断が求められます。
学名について
セスジヒメハナカミキリ基亜種 / Pidonia amentata amentata (Bates, 1884)
1) 属名および亜属名
属名:Pidonia (ピドニア)
語源: ギリシャ語の「pidax (πῖδαξ)」(泉、湧き水)に由来するという説がありますが、命名者であるServille(1835年)は明確な語源を記していません。昆虫学においては、しばしば「跳ねる」「飛び出す」といった動作に関連付けられることもありますが、詳細は未解明です。
亜属名: 本種は Pidonia 亜属に分類されます(Pidonia (Pidonia) amentata amentata)。
2) 種小名:amentata (アメンタータ)
語源: ラテン語の「amentatus」に由来します。これは「紐(ひも)をつけた」「ストラップのある」という意味の形容詞です。上翅に見られる特有の縦条(スジ)模様を、紐状の装飾に見立てて命名されたものと考えられます。
3) 命名者と年号 (Bates, 1884)
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの昆虫学者・探検家であり、擬態の一形式である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: The Journal of the Linnean Society of London. Zoology, 18: 205-262. (1884).
和名の由来
上翅の合わせ目(背中)に沿って明瞭な黒褐色の縦条(背条:せすじ)があることから「セスジ」、小型で優美な姿から「ヒメ」、花に集まる性質から「ハナカミキリ」と冠されています。
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