ピックニセハムシハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハイイロハナカミキリ族の一種です。上翅の鮮やかな金属光沢と、それに対比する赤い前胸背板が特徴とされています。初夏の山地において、カエデの花の上でよく見られます。




基本情報
| 体長 | 6~8㎜ |
| 分布 | 本州、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 | 未知 |
| 成虫出現期 | 5~6月 |
観察と撮影後記
ピックニセハムシハナカミキリは、本州から九州にかけて広く分布する山地性のハナカミキリです。体長は10mmに満たない小型の種です。最初、「ピック」・・で変わった名前と思っていましたが、和名の由来は命名者の「Pic」氏からとの事です。名前の通り、推察すると、ピック氏が命名したハムシに「似せた」ハナカミキリという事になります。寄生植物は未知ですが、産卵中の写真も付けておきます。
なお、キバネニセハムシハナカミキリの誤りではないかと心配しておりましたが、後日、間違いないとのメールを著名が先生からいただきました。改めて感謝とお礼を申し上げます。
学名について
ピックニセハムシハナカミキリ/ Lemula rufithorax Pic, 1901
1.属名: Lemula (レムラ)
ラテン語で「死者の霊」「幽霊」を意味する「lemures(レムレース)」に、指小辞「-ula」が付加された形です。「小さな幽霊」あるいは「小さな精霊」といった意味合いを持ちます。これは、本属が森林の林床や花上で見られる際の、特異な形態や動きに由来するものと解釈されます。
2.種小名: rufithorax (ルフィトラクス)
ラテン語で「赤い」を意味する「rufus(ルーフス)」と、「胸部(前胸)」を意味する「thorax(トラクス)」を組み合わせた合成語です。本種の最大の特徴である、鮮やかな赤色の前胸背板を直接的に表現しています。なお、本種は現在のところ亜種の区分はなされておらず、日本に分布する個体群が種そのもの(指名亜種に相当する単型種)として扱われています。
3.命名者と年号:Pic, 1901
命名者:Maurice Pic(モーリス・ピック)。19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの昆虫学者で、生涯にわたり膨大な数の鞘翅目(特にカミキリムシ科、ハムシ科)を記載したことで世界的に知られています。記載文献: “Coléoptères cérambycides recueillis au Japon par M. Harmand.” Bulletin du Muséum d’Histoire Naturelle de Paris, 7(1): 56–62. (1901)
和名の由来
本種の和名「ピックニセハムシハナカミキリ」は、以下の要素から構成されています。
ピック: 本種を新種として記載した命名者、Maurice Pic(モーリス・ピック)への献名、あるいは彼が記載した種であることを示しています。日本のカミキリムシの標準和名において、人名が初冠される例は他にもありますが、本種の場合は彼が記載した「前胸が赤い(rufithorax)」という特徴を明確に区別する意図が含まれています。
ニセハムシ: 外見、特に体型や色彩がハムシ科(Chrysomelidae)の昆虫に酷似していることから、「ハムシに似て非なるもの」という意味で「ニセハムシ」の名が冠されています。
ハナカミキリ: 成虫が花に集まる習性(訪花性)を持つハナカミキリ亜科に属することに由来します。
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