オオトラカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トラカミキリ族に分類される、国内最大級のトラカミキリの一種です。黄色い帯模様が美しく、他のトラカミキリ類と比べて出現時期が8月中旬から9月と遅めとなります。主にモミやウラジロモミなどの針葉樹林に生息します。

基本情報
| 体長 | 20.9~33.0㎜ |
| 分布 | 国後島、北海道、本州、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 | 幼虫: モミ、ウラジロモミ、トドマツ、ヒノキなどの針葉樹の生木(樹皮下から材内を食害する)成虫: 針葉樹の樹液に集まるほか、極めて稀に花(ノリウツギ等)を訪れることもある。 |
| 成虫出現期 | 7~10月 |
観察と撮影後記
カミキリ屋の間では、その希少性と風格から敬意を込めて「国トラ(国産トラカミキリの王者の意)」と呼ばれる存在です。かつては「幻」とされていましたが、生態が解明されるにつれ、モミの食痕を頼りに探すようになったそうです。
とはいえ、そうなる以前からベテランの虫屋に話を伺うと、涼しい顔で「持ってるよ」と返されることが多いカミキリでした。いつかは「花に来たオオトラ」を撮りたいものです。
学名について
オオトラカミキリ / Xylotrechus villioni (Villard, 1892)
属名:Xylotrechus (キシロトレクス)
ギリシャ語の “xylon” (木) と “trechos” (走る者) を組み合わせた言葉に由来します 。その名の通り、倒木や生木の幹の上を非常に素早く、走るように動き回るトラカミキリ属の性質を象徴しています。
種小名:villioni (ヴィリオニ)
種小名 villioni は、幕末から明治時代にかけて日本で活動したフランス人宣教師、エメ・ヴィリヨン(Aimé Villion, 1843-1932) への献名です。カミキリムシの学名には、発見者や研究者に敬意を表して名前が付けられることが多くあります 。
ヴィリヨン神父は、京都の「河原町教会」を創設したことで知られるカトリック司教ですが、同時に熱心な昆虫採集家でもありました。
学名の構成: 彼の姓「Villion」に、ラテン語で「〜の(人名に捧げる)」を意味する接尾辞「-i」を加え、villioni となりました
命名者と年号:(Villard, 1892)
1892年、ヴィリヨン神父から送られた標本を精査したヴィラールが、新種として学術誌に発表しました。その際、発見者であるヴィリヨン神父の名を冠して Xylotrechus villioni と名付けたのです。

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