オオマルクビヒラタカミキリ / Asemum striatum (Linnaeus,1758)

オオマルクビヒラタカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科カミキリ亜科マルクビヒラタカミキリ属の一種です 。全体に平らな体型で、前胸背板(首の部分)が丸みを帯びている点や、上翅に数本の縦筋(条線)がある点が特徴です。主に針葉樹林に生息し、伐採木や衰弱木、立ち枯れなどに集まります。

オオマルクビヒラタカミキリの自然写真 生態
2015年5月 山梨県大月市大月町
オオマルクビヒラタカミキリの自然写真 枝上
2018年6月 山梨県大月市大月町
オオマルクビヒラタカミキリの写真 貯木場
2018年4月 山梨県富士吉田市

基本情報

スクロールできます
体長8~16㎜
分布北海道、奥尻島、本州、四国、九州、対馬、千島列島、樺太
食草・寄生植物等幼虫:マツ科(アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツなど)の針葉樹の朽ち木。
成虫:後食(樹皮や葉を食べる行動)はほとんど知られておらず、主に水分摂取程度と考えられています。
成虫出現期4~8月

 

観察と撮影後記

オオマルクビヒラタカミキリは、その名の通り「扁平」で「丸首」なシルエットが特徴的ですが、実は色彩変異が非常に豊富な種でもあります 。今回掲載した写真のような褐色味を帯びた個体もいれば、全身が煤(すす)のように真っ黒な個体もあり、そのバリエーションの多さは観察していて飽きることがありません 。

撮影中、じっとレンズを向けていると、ふとした瞬間にこちらと「目を合わせて」くれたような気がしました 。その愛嬌のある一瞬を切り取ったのが今回の一枚です。地味な色合いながらも、条線が走る上翅の質感や、どこかユーモラスな顔つきなど、実際にフィールドで対峙すると非常に面白いカミキリムシだと再認識させられます。

学名について

1. 属名:Asemum (アセムム)

この属名は、ギリシャ語の “asemos” (ἄσημος) を語源としています 。
意味:「印のない」「特徴のない」「はっきりしない」という意味です 。

由来:派手な斑紋や鋭い棘(とげ)などを持たず、地味で簡素な外見をしているこのグループの性質を表現しています 。

2. 種小名:striatum (ストリアートゥム)

こちらはラテン語に由来し、本種の識別ポイントを的確に表しています 。
意味:「条線のある」「溝のある」という意味の形容詞です 。

由来:本種の上翅(背中)に、数本の明瞭な縦方向の筋(条線)が走っているという、外見上の最大の特徴を強調した命名です 。

3. 命名者と年号:(Linnaeus, 1758)

Carl von Linné (Linnaeus):近代分類学の父と呼ばれるスウェーデンの博物学者です。

1758年に発行された著書『自然の体系(Systema Naturae)』第10版において本種を記載しました。学名に括弧がついているのは、リンネが当初は Cerambyx 属として記載し、後に現在の Asemum 属へ組み替えられたことを示しています 。

 

 

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