オオホソコバネカミキリ、日本に分布するカミキリムシ科ホソコバネカミキリ亜科のカミキリムシでハチに擬態している事で有名です。
成虫は盛夏に活動しますが、紹介する写真は6月中旬~7月初めとなります。
珍しいネキダリス(ホソコバネカミキリ)の仲間の中では、出会う機会あるカミキリムシです。



基本情報
| 体長 | 11.4~32.0㎜ |
| 分布 | 本州、四国、九州 |
| 食草・寄生植物 | 広葉樹:ブナ、ミズナラ、ダケカンバ、ヤシャブシ、イヌシデ なお、写真は全てクリです。 幼虫:ブナやミズナラなどの広葉樹の枯死部(立ち枯れや倒木) 成虫:観察したことはありません |
| 成虫出現期 | 7~8月 (撮影:6中旬~7月初旬) |
観察と撮影後記
虫屋の多くは、本種を「ソリダ」と呼んでいます。これは、学名が solida であることに由来します。ネキの仲間の中で、虫屋が最初に採集するのが、このソリダかもしれません。
私が最初にソリダを見つけたのは奥只見の林道で、その次が志賀高原でした。いずれも8月中旬のことです。初めて採集したときは、「ようやくカミキリ屋になったかな……」と思ったものでした。
もっとも、その先は「日暮れて道遠し」だったわけですが。
ところで、「色黒」のソリダは、写真の個体が初めてでした。丸腰ではありましたが、手を伸ばせば……簡単に採れそうな位置にいました。8月+ブナ林のカミキリというイメージが強く6月中旬にクリで見つけた時は驚きました。
その後、2015年から2017年にかけて同じ時期、同じ場所で観察を続けましたが、毎年複数個体を確認することができました。単なる偶然ではなく、地域的な特徴なのかもしれません。
実は、黒色型が見られるご神木と、通常型が見られるご神木は異なっていました。そのため継続的に観察するつもりでいました(もっとも、ご神木は2本のみでしたので、統計的な信頼性は高くありません)。しかし、1本は人為的に伐倒され、もう1本は台風で倒れてしまい、現在はいずれも存在していません。
学名について
1. 属名:Necydalis(ネキダリス)
ギリシャ語の「nekydalos(ネキュダロス)」に由来します。
- 意味:もともとは「カイコの幼虫」や「死んだ蛹(さなぎ)」を指す言葉。
- 背景:近代分類学の父リンネが、この属の上翅が極端に短く、羽化に失敗した個体、あるいは蛹の面影を残しているかのような独特の姿に着目して命名したとされています。
2. 亜属名:Necydalisca(ネキダリスカ)
- 意味:属名 Necydalis に、指小辞(「〜のようなもの」「小型の〜」を意味する接尾辞)である「-isca」を付した形です。
3. 種小名:solida(ソリダ)
ラテン語形容詞 solidus(ソリドゥス)の女性形です。
- 意味:「堅実な」「がっしりした」「中身の詰まった」。
- 由来:同属他種と比較して体が太く、頑丈で、全体にがっしりとした体格であることを表して命名されたと考えられます。
4. 命名者と年:Bates, 1884
イギリスの昆虫学者ヘンリー・ウォルター・ベイツ(Henry Walter Bates)が1884年に記載しました。彼はアマゾン探検での「ベイツ型擬態」の発見で有名ですが、日本産の昆虫研究にも多大な貢献をしています。
電子書籍とPaperback(紙)があります。ご覧いただければ嬉しいです。

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