キボシカミキリ沖永良部島亜種 / Psacothea hilaris intermedia Breuning & K. Ohbayashi, 1966

オキノエラブキボシカミキリは、奄美群島に分布するフトカミキリ亜科ヒゲナガカミキリ族(キボシカミキリ属)の一種です。基亜種であるキボシカミキリと比較して、前翅の黄白色斑がより鮮明に浮き出て見える点や、体地色が暗色化する傾向が認められます。鹿児島県の沖永良部島および与論島の固有亜種であり、食草となるクワ科植物が自生する林縁や農耕地周辺に局地的に生息します。

オキノエラブキボシカミキリの自然写真
2007年6月 鹿児島県 与論島

基本情報

体長15~30㎜
分布沖永良部島、与論島
食草・寄生植物等ヤマグワ、ガジュマル、アコウ(クワ科)
成虫出現期4~8月

観察と撮影後記

本種の体長は一般に15mm~30mm程度とされていますが、野外観察の主観としては、離島(沖永良部島・与論島)の個体群は基亜種に比べて大型の個体が多い印象を受けます。出現期は4月から8月にかけてですが、その分布は沖永良部諸島と与論島の二島に限定されているため、現地を訪れなければ観察機会は得られません。

今回の撮影は与論島にて行いました。島全体として標高が低く、平坦な土地の多くが畑地として利用されていますが、島中央部に残された貴重な緑地帯において本種の姿を確認することができました。特定の地名を冠するカミキリムシの多くがそうであるように、普通種であっても限られた環境に依存して生息していることを改めて実感する記録となりました。

参考:キボシカミキリイシガキキボシカミキリ

学名について

オキノエラブキボシカミキリ / Psacothea hilaris intermedia Breuning et Ohbayashi, 1966

1. 属名:Psacothea(プサコテア)

この属名は、ギリシャ語を語源とする言葉に由来します。

“psakas” (ψακάς):「粒」「点」「滴」を意味します。
“thea” (θέα):「姿」「外見」「眺め」を意味します。

つまり、属名全体で「点々のある姿をしたもの」という意味になり、本属の最大の特徴である体表の美しい斑点模様を的確に表現しています。

2. 種小名:hilaris(ヒラリス)

こちらはラテン語に由来します。

hilaris“:ラテン語で**「陽気な」「明るい」「快活な」**という意味の形容詞です。これは、本種の鮮やかな黄白色の斑紋が、暗い体色の中で明るく際立って見える様子を形容したものと考えられます。

3. 亜種名:intermedia(インテルメディア)

こちらもラテン語に由来します。

intermedia“:ラテン語で「中間の」という意味です。分類学上、他の亜種(基亜種やオキナワキボシカミキリなど)との中間的な形態的特徴を持つことから命名されました。

4. 命名者と年号:(Breuning et Ohbayashi, 1966)

Stephan von Breuning:20世紀のオーストリアの昆虫学者で、特にフトカミキリ亜科の世界的権威として知られ、膨大な数の新種を記載しました。

大林一夫(Kazuo Ohbayashi):日本のカミキリムシ研究を牽引した高名な昆虫学者です。記載文献:Breuning, S. & Ohbayashi, K. (1966) “Descriptions de nouveaux Lamiaires du Japon (Col. Cerambycidae).” Bulletin de la Société entomologique de Mulhouse, 1966: 31-36.(※本論文内にて、沖永良部島および与論島の個体群が新亜種として記載されました。)

和名の由来

本種の和名「オキノエラブキボシカミキリ」は、本亜種の主要な産地である「沖永良部島」と、体表に黄色い斑点(黄星)を持つ「キボシカミキリ」を組み合わせたものです。

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