ナカジロサビカミキリ / Pterolophia (Ale) jugosa jugosa (Bates, 1873)

ナカジロサビカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科サビカミキリ族の一種です。上翅後半部にある鮮やかな白色の紋が大きな特徴とされています。広葉樹の枯れ枝や粗朶などによく見られ、その静止する姿は周囲の環境に見事に溶け込みます。

ナカジロサビカミキリ、自然写真、生態1
2019年7月 山梨県北都留郡
ナカジロサビカミキリ、自然写真、生態2
2020年 7月 長野県南佐久郡川上村

基本情報

スクロールできます
体長7~11㎜
分布北海道、奥尻島、本州、飛島、粟島、佐渡、隠岐、四国、九州、種子島、屋久島
食草・寄生植物等各種広葉樹および針葉樹
成虫出現期4~8月

観察と撮影後記

ナカジロサビカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科サビカミキリ族の一種です。上翅後半部にある明瞭な白色部が大きな特徴とされており、各種広葉樹の枯れ枝や粗朶(そだ)によく見られます。

その佇む様子は非常に趣があり、木の節や芽、あるいは樹皮の凹凸に擬態しているようにも見受けられます。じっと静止している姿はサビカミキリ類特有の風格があり、野生下での存在感は観察者にとって非常に印象的なものです。

学名について

ナカジロサビカミキリ / Pterolophia (Ale) jugosa jugosa (Bates, 1873)

1.属名: Pterolophia (プテロロフィア)

ギリシャ語の “pteron”(πτερόν:翼、昆虫においては鞘翅)と “lophos”(λόφος:冠毛、隆起、たてがみ)を組み合わせた造語です。本属の多くの種が上翅(鞘翅)に隆起や毛の束を持つ特徴を指しています。

2.亜属名: Ale (アレ)

ギリシャ語の “alē” (ἄλη) を語源としています。 意味は 「放浪」「彷徨(ほうこう)」「迷い」 です。

命名者である Pascoe (1865) は、本亜属(当時は属として創設)の記載にあたって語源の明示的な説明を残していませんが、分類学上の慣例として、ギリシャ語の短く簡潔な単語から引用されたものと考えられます。サビカミキリ族の中でも特定の形態的特徴や、あるいは成虫の行動等を示唆した名称の可能性がありますが、具体的な命名意図についての文献的裏付けは現時点で乏しいため、「放浪・彷徨」という言葉そのものの意味を採るにとどめるのが妥当です。

3.種小名・亜種名: jugosa (ユゴーサ)

ラテン語の “jugosus“(嶺のある、山の、起伏の多い)に由来します。鞘翅表面の凹凸や隆起のある形態を形容したものと考えられます。本種は指名亜種であるため、亜種名にも同じ jugosa が重ねられます。

4.命名者と年号: (Bates, 1873)

命名者:Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者であり、擬態の一種である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, (4) 12: 380–390. (1873)

和名の由来

「中白(ナカジロ)」は、上翅の中ほどから後方にかけて広がる大きな白い紋に由来します。「サビ(錆)」は、体表の質感や色が古びた金属の錆のように見えるサビカミキリ族全般の特徴を表しています。

ナカジロサビカミキリ、自然写真、薄暗い森の中で、こんな形で佇まれると、まず、見つかりません
2019年7月 山梨県北都留郡  薄暗い森の中で、こんな形で佇まれると、まず、見つかりません
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