クロサワヘリグロハナカミキリ / Eustrangalis anticereductus Hayashi, 1958

クロサワヘリグロハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科に属する一種です。ブナ帯などの冷温帯広葉樹林に生息し、各種訪花植物に集まる姿が確認されます。有名採集地から遠く離れた場所で真昼に撮れました。予期しない虫が予期しない場所で見かけるのは虫屋あるあるかもしれません。実は分布を広げているのかもしれません。

クロサワヘリグロハナカミキリの自然写真1
クロサワヘリグロハナカミキリの自然写真2
2023年5月 山梨県南巨摩郡身延町
クロサワヘリグロハナカミキリの自然写真3
クロサワヘリグロハナカミキリの自然写真4
2018年6月 山梨県大月市

基本情報 

体長13.4 ~16.1㎜
分布北海道、本州、四国、九州
食草・寄生植物等キハダ、ハリエンジュ、ネムノキ、ニセアカシア
成虫出現期5~7月

観察と撮影後記

1990年当時、本種を求めて岩手県まで遠征を試みましたが、2度の探索を経てもその姿を確認することは叶いませんでした。現在では一部で普通種と称されることもありますが、生息環境が限定的であることから、依然として希少性の高い種であると認識しています。

成虫は花上で見られますが、都合よく目の高さでの観察・撮影機会は多くありません。

学名について

クロサワヘリグロハナカミキリ / Eustrangalis anticereductus Hayashi, 1958

1. 属名: Eustrangalis (エウストランガリス)

ギリシャ語の接頭辞 “eu-“(真の、良い、発達した)と、属名 Strangalis(絞られた、細い)の合成語です。ハナカミキリ類の中でも、より洗練された、あるいは特定の形態的特徴(細長い体型など)が顕著なグループであることを示唆しています。

2. 種小名: anticereductus (アンティケレドゥクトゥス)

ラテン語の “antice“(前方の)と “reductus“(減少した、縮小した)に由来します。これは本種の特徴である、上翅前方の黒色斑紋が消失、あるいは著しく縮小している形態的特徴を指しています。

3. 命名者と年号: Hayashi, 1958

日本の甲虫学者である林匡夫(はやし まさお)氏によって1958年に記載されました。記載文献: Hayashi, M. (1958) “Studies on Cerambycidae from Japan and its adjacent regions (IX)”. The Entomological Review of Japan, 9(2): 46–50.

和名の由来

「クロサワ」は、著名な昆虫学者である黒澤良彦氏への献名です。「ヘリグロハナカミキリ」は、縁(ヘリ)が黒いハナカミキリの意であり、その近縁種(あるいはかつての亜種)として区別するために命名されました。

クモとクロサワヘリグロカミキリとの悩ましい邂逅
2023年5月 山梨県南巨摩郡身延町 
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