セアカハナカミキリ(和名別称:クロオオハナカミキリ)/ Macroleptura thoracica (Creutzer, 1799)

セアカハナカミキリは、カミキリムシ科ハナカミキリ族に分類される日本最大級のハナカミキリです。雌の前胸が赤い個体が多い一方、全身黒色の型も存在し、山地の良好な広葉樹林に生息します。成虫は夏季に出現し、寄生植物であるブナ科などの立ち枯れで見られます。

セアカハナカミキリの自然写真。クリの倒木上で活動する生態の様子1
セアカハナカミキリの自然写真。クリの倒木上で活動する生態の様子2
2016年7月 山梨県北都留郡
セアカハナカミキリの自然写真。クリの立ち枯れへの産卵の様子
2018年7月 山梨県北都留郡
クリの立ち枯れに産卵

基本情報

スクロールできます
体長17.9~26.9㎜
分布北海道、礼文島、千島列島、奥尻島、本州
食草・寄生植物等モミ、トドマツ、アカエゾマツ、ブナ、オヒョウ、ハリギリ、ダケカンバ 
※ 写真はクリ。
成虫出現期7~8月

観察と撮影後記

日本産のハナカミキリ類の中では最大級の種であり、色彩には変異が見られます。基本的には、全身が黒色の個体から、上翅が赤褐色を帯びる個体まで存在し、大きく「セアカ型」「クロ型」、そしてその中間型の3タイプに分けられます。同じ属のオオヨツスジハナカミキリでも黒化型などが見られます。

寄主植物としてはブナなどが知られていますが、撮影したものはクリの立ち枯れや倒木で見かけたものです。一方で、本種はノリウツギやリョウブの花を訪れることも知られており、機会があれば花上での姿もぜひ撮影してみたいものです。

学名について

セアカハナカミキリ(和名別称:クロオオハナカミキリ / Macroleptura thoracica (Creutzer, 1799)

1) 属名:Macroleptura (マクロレプツラ)

この属名は、ギリシャ語を語源とする2つの言葉から成り立っています。

“macros” (μακρός):「大きい」「長い」を意味します。
“Leptura” (レプツラ):ハナカミキリ属の名称。

語源はギリシャ語の “leptos” (λεπτός)(細い・薄い)と “oura” (ουρά)(尾)に由来します。つまり、属名全体で 「大型のハナカミキリ属」 という意味になります。

2) 種小名:thoracica (トラキカ)

こちらはラテン語に由来します。”thoracicus“:ラテン語で 「胸部の」 という意味の形容詞です。本種の最大の特徴である、前胸背板(胸部)が赤く目立つ色彩をしていることに着目して命名されたと考えられます(全ての個体が胸部が赤いわけではありません)。

3) 命名者と年号:(Creutzer, 1799)

Christian Creutzer:18世紀末から19世紀初頭にかけて活動したオーストリアの昆虫学者です。【記載文献】Creutzer, C. (1799) Entomologische Versuche. Wien.

和名の由来

セアカハナカミキリ:「背赤」の意味であり、前胸背板が赤いことに由来します。また、クロオオハナカミキリ:全身が黒化する個体が存在し、かつ大型であることに由来し、別称として用いられます。併記される理由は個体変異により、赤色部を持つ個体と全身黒色の個体が混在するため」であり、かつ「それぞれの色彩的特徴に基づいた名称が、専門文献において標準和名と別称として併記・継承されてきたため」と思います。属においても セアカハナカミキリ属(クロオオハナカミキリ属)Genus Macroleptura Nakane et Ohbayashi, 1957 です。同じ属のオオヨツスジハナカミキリを掲載しています。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする