クビアカハナカミキリは、カミキリムシ科ハナカミキリ亜科の一種です。前胸背板が鮮やかな赤色を呈し、黒色は現れない。上翅の色は個体変異・地域変異が多い。低地から中山帯に分布します。

017年7月 長野県伊那市長谷黒河内
基本情報
| 体長 | 7.0~10.6㎜ |
| 分布 | 本州、佐渡、淡路島、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 | アカマツ、クロマツ |
| 成虫出現期 | 4~8月 |
観察と撮影後記
当初、カエデの花での観察を目的としていましたが、現地の開花状況が合致せず、付近で唯一開花していたナシ(バラ科)の花に本種の訪花がありました。クビアカハナカミキリ属の共通として、本種の上翅の色も赤銅~銅~緑銅~青緑~青~紫など変化にとみます。写真は赤銅と思われます。色の変異は日本産カミキリ大図鑑(むし社)が参考になります。
学名について
クビアカハナカミキリ / Gaurotes (Carilia) atripennis Matsushita, 1933
1. 属名:Gaurotes(ガウロテス)
この属名は、ギリシャ語の “gauros” (γαῦρος) に由来します。
意味:「誇り高い」「華やかな」「威厳のある」を指します。
背景:本属を含むハナカミキリ類が、金属光沢や鮮烈な色彩を持つことにちなんで命名されました。
2. 亜属名:(Carilia)(カリア)
本種をより詳細に分類するグループ名(亜属)です。
命名者:Mulsant, 1863
語源:古代小アジア(現在のトルコ南西部)の地名である 「カリア(Caria / Karia)」 に由来すると考えられています。
背景:19世紀の昆虫学者エティエンヌ・ミュルサン(Mulsant)は、地名や神話などの固有名詞を分類群の名前に採用することが多く、本亜属もその慣習に従ったものと推察されます。現在は Gaurotes 属の中に置かれていますが、研究者によっては独立した「カリア属」として扱う場合もあります。
3. 種小名:atripennis(アトリペンニス)
ラテン語の2つの単語を組み合わせた形容詞です。
“ater“:ラテン語で「(光沢のない)黒色」「暗色」を意味します。
“pennis“:ラテン語で「羽」「翼」を意味し、昆虫学では「上翅(じょうし)」を指します。
意味:全体で 「黒い翅を持つ」 という意味になります。
補足:野外では青藍色の金属光沢が見られますが、室内や古い標本、あるいは特定の照明下では上翅が非常に暗く見えるため、前胸の「赤」との対比を強調して命名されたと考えられます。
4. 命名者と年号:Matsushita, 1933
Matsushita, Masaki(松下 真幸):昭和初期に活動した日本の甲虫学者。北海道帝国大学にて日本産カミキリムシ科の分類学的基礎を築きました。 記載書籍・文献:Matsushita, M. (1933). “Beitrag zur Kenntnis der Cerambyciden des japanischen Reichs”. Journal of the Faculty of Agriculture, Hokkaido Imperial University, 34(2): 157–445.
和名の由来
クビアカハナカミキリ(首赤花天牛)
構造:前胸背板(昆虫の首の部分に見える箇所)が鮮やかな 「赤(クビアカ)」 であり、花に集まる 「ハナカミキリ」 の仲間であることから。
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