コバネカミキリは、日本各地に分布するカミキリムシ科ノコギリカミキリ亜科コバネカミキリ族の一種です。上翅が短く腹部末端が露出する独特の体形を示し、他の多くのカミキリムシ類と明瞭に区別されます。各地の森林環境に生息します。


基本情報
| 体長 | 12.6~34.3㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬 |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹 |
| 成虫出現期 | 6~8月 |
観察と撮影後記
本種は亜種を含めると北海道から九州、対馬まで広く分布しています。1989年には東北地方の白神山地において、多数の個体が集中して発生している状況が観察されました。小笠原諸島においては、父島(乾性硬葉低木林)と母島(湿性広葉高木林)で異なる亜種が分化していますが、これは島ごとの植生環境の差異に起因するものと考えられています。
学名について
コバネカミキリ / Psephactus remiger remiger Harold, 1879
1. 属名:Psephactus(プセファクトゥス)
ギリシャ語の「psephos(小石)」と「aktos(導かれたもの、あるいは岸辺の意)」に関連する語源を持つ可能性がありますが、命名者による詳細な語源の明示はなく、不明です。
2. 種小名:remiger(レミゲル)
ラテン語で「漕ぎ手」「櫂(かい)を持つもの」を意味します。触角や後脚の形態、あるいはその動きを、船を漕ぐ様子に見立てたものと考えられます。
Psephactus remiger remiger という表記は、Psephactus remiger という種の中で、最初に登録された標準的なタイプ(基亜種)であることを意味します。
3. 命名者と年号 Harold, 1879
Edgar von Harold(エドガー・フォン・ハロルド)によって1879年に記載されました。記載文献: Harold, E. von (1879) “Beiträge zur Käferfauna von Japan (Fünftes Stück).” Deutsche Entomologische Zeitschrift, 23(2): 225–236.
和名の由来
「小羽(こばね)」の名の通り、上翅(前翅)が極端に短く、下翅が露出している形態的特徴に由来します。

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