キマダラミヤマカミキリは、日本(本州、四国、九州等)に分布するカミキリムシ科ミヤマカミキリ族に分類されるカミキリムシの一種です。全身が金色の絹糸状の微毛に覆われており、光の屈折や見る角度によって、体表に複雑な斑紋(キマダラ状)が浮かび上がる点が最大の特徴です。クヌギ、コナラ、クリなどのブナ科樹木が優占する広葉樹林や、それらが残る社寺林、里山周辺に生息します。


基本情報
| 体長 | 22~35㎜ |
| 分布 | 本州(東北地方南部以西)、伊豆諸島(神津島、三宅島)、奄美大島、徳之島、沖縄島 |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹 |
| 成虫出現期 | 5~8月 |
観察と撮影後記
本種は夜行性であり、日中は樹幹の裂け目や、高い枝の葉裏などに潜伏していることが多い。夜間の撮影は子供の頃のカブトムシを探した感覚を思い出しましたが、それ以上に蚊の大群に閉口しました。灯火にも頻繁に飛来します。
ところで、近年は日中に見かける事が多くなった気がします。日中に撮影したものも掲載します
学名について
キマダラミヤマカミキリ /Aeolesthes (Pseudaeolesthes) chrysothrix chrysothrix (Bates, 1873)
1. 属名:Aeolesthes (エオレステス)
この属名は、ギリシャ語を語源とする2つの言葉から成り立っています。
“aiolos” (αἰόλος): 「変化に富む」「素早い」「きらめく」を意味します。
“esthes” (ἐσθής): 「衣」「衣服」を意味します。
つまり、属名全体で 「きらめく衣を纏ったもの」 という意味になり、本属が持つ絹糸状の微毛の光沢を表現しています。
(Pseudaeolesthes) のように、属名のあとに括弧書きで示されるのは亜属名です。本種が属する亜属名 Pseudaeolesthes は、”pseudo-“(偽の、〜に似た)+ Aeolesthes で構成されます。
2. 種小名:chrysothrix (クリソトリクス)
こちらもギリシャ語に由来する形容詞的表現です。
“chrysos” (χρυσός): 「黄金」を意味します。
“thrix” (θρίξ): 「毛」を意味します。
種小名全体で 「黄金色の毛を持つ」 という意味であり、本種の体表を覆う金色の微毛という最大の特徴を直接的に示しています。
chrysothrix chrysothrix のように種小名と亜種名が同じになるのは、その個体がその種の基名亜種(種として最初に記載された際の基準となるグループ)であることを示します。
3. 命名者と年号:(Bates, 1873)
Henry Walter Bates: 19世紀のイギリスの昆虫学者。アマゾン探検や「ベイツ型擬態」の提唱で知られますが、日本のカミキリムシ相の研究にも多大な貢献をしました。(Bates, 1873) のように命名者と年号が括弧で括られているのは、「最初に記載された時とは属名が変わった」ことを意味します。記載文献: Bates, H. W. (1873) On the Longicorn Coleoptera of Japan. The Annals and Magazine of Natural History, (4) 12: 148–156 (本種の記載は152頁、当時は Neocerambyx 属として記載)。
和名の由来
キマダラ(黄斑): 体表の金色の微毛が、光の当たり方によって黄金色の斑紋(マダラ模様)のように見えることに由来します。ミヤマカミキリ(深山天牛): 山地に生息する大型のカミキリムシ類(ミヤマカミキリ族)であることを示しています。
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