キクスイモドキカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科フトカミキリ亜科シラホシサビカミキリ族に分類される一種です。 特徴:体長は小型で、全体に淡褐色の微毛に覆われますが、種小名が示す通り、脚(特に跗節や脛節の一部)が赤みを帯びる個体が多い点が特徴です。広葉樹林の林縁部や伐採地周辺に生息し、寄主植物であるサクラ、ヤナギ、クワなどの枯れ枝や、それらを含む粗朶(そだ)で見られます。


基本情報
| 体長 | 6~11㎜ |
| 分布 | 本州、四国、九州、佐渡、冠島、長崎(生月島)、対馬、五島列島、種子島、屋久島 |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹の細い枯れ枝 |
| 成虫出現期 | 4~8月 |
観察と撮影後記
本種は、東海地方から九州地方にかけては平地から山地まで広く分布し、「普通種」として頻繁に観察されるカミキリムシです。しかし、関東地方以東においては確認例が著しく少なくなり、豊かな自然環境が保持された山間部に生息が限定される「稀な種」となる傾向があります。
2021年4月から5月にかけて高尾山を計4回訪れた際には、毎回本種の姿を観察できました。2021年は発生個体数が多い年であったのかもしれません。
一般に広葉樹の細枝に集まるとされていますが、高尾山のような環境では、登山客が往来する参道脇の枝先だけでなく、葉上や擬木、さらには舗装路上といった様々な場所で観察できました。
学名について
キクスイモドキカミキリ / Asaperda rufipes Bates, 1873
1. 属名:Asaperda(アサペルダ)
この属名は、ギリシャ語の接頭辞 “a-“(〜ではない、欠如)と、カミキリムシ科の別属である “Saperda“(サペルダ属)を組み合わせた造語です。「Saperda属に似ているが、異なるもの」という意味を内包しています。
2. 種小名:rufipes(ルフィペス)
ラテン語に由来する2つの言葉から構成されています。
“rufus”: 「赤い」「赤褐色の」
“pes”: 「足(脚)」
合わせると「赤い脚の」という意味になり、本種の外見的特徴を直接的に表しています。
3. 命名者と年号 Bates, 1873
Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ):19世紀のイギリスの昆虫学者・博物学者。アマゾン川流域での調査で知られますが、日本の昆虫相の研究にも多大な貢献をしました。【記載文献】ates, H. W. (1873) “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” Annals and Magazine of Natural History, (4) 12: 148-156, 193-201, 308-318, 380-390.
和名の由来
「キクスイカミキリ」に姿が似ている(擬する)ことから「モドキ」の名が付いています。

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