ヒメスギカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科スギカミキリ族の一種です。早春に現れる代表的なカミキリムシであり、スギやヒノキの新鮮な伐採木によく見られます。オスとメスで体色が異なる個体が多く、春の林業地や土場において最も身近に観察される種の一つとして知られています。



基本情報
| 体長 | 5.6~12.8㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、伊豆諸島、佐渡、隠岐、四国、九州、壱岐、対馬、種子島、屋久島、トカラ列島、奄美諸島、沖縄諸島 |
| 食草・寄生植物等 | スギ、ヒノキ、モミ |
| 成虫出現 | 3~7月 |
観察と撮影後記
本種は、新鮮な伐採木に多く集まる習性を持つカミキリムシです。特に春先のスギの伐採木では頻繁にその姿を見かけますが、一方で人の手が入らない、あるいは伐採が行われないような環境下においては、発見が困難な珍しい存在になると考えられます。人為的な森林管理のプロセスに依存した生態的側面を持つ種と言えかもしれません。
学名について
ヒメスギカミキリ / Callidiellum rufipenne (Motschulsky,1860)
1.属名: Callidiellum (カッリディエッルム)
近縁な属である Callidium(スギカミキリ属)に、ラテン語の指小辞「-ellum」を付加したものです。「小さな Callidium 」を意味し、本属がスギカミキリ属に似つつも小型である形態的特徴を表しています。
2.種小名: rufipenne (ルフィペンネ)
ラテン語で「赤」を意味する「rufus」と、「羽(上翅)」を意味する「penne」の合成語です。本種のオスの上翅がしばしば赤褐色を呈することに由来します。なお、本種は日本に分布するものが基亜種(指名亜種)とされています。
3.命名者と年号: (Motschulsky, 1860)
命名者:Victor von Motschulsky(ヴィクトル・フォン・モチュルスキー)。19世紀ロシアの軍人であり、広範な甲虫類の記載を行った昆虫学者です。記載文献:Motschulsky, V. de. “Coléoptères de la Sibérie orientale et en particulier des rives de l’Amour.” In: Schrenck, L. von: Reisen und Forschungen im Amur-Lande in den Jahren 1854–1856, 2: 77–257. (1860)
和名の由来
大型のスギカミキリ(Semanotus japonicus)に似ており、それよりも小型(姫)であることから「ヒメスギカミキリ」と命名されました。
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