ゴマフカミキリは、日本全土に広く分布するカミキリムシ科フトカミキリ亜科ゴマフカミキリ族に分類されます。灰褐色の地に黒褐色の不規則な斑紋(胡麻斑)が散在し、樹皮に酷似した隠蔽色(擬態)を持つ点が最大の特徴です。平地から山地の広葉樹林に生息し、特に伐採木や枯死木が集まる貯木場などで高い頻度で観察されます。

基本情報
| 体長 | 11.1~15.3㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、飛島(山形県)、粟島(新潟県)、佐渡、隠岐、四国、対馬、九州、屋久島? |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹、針葉樹 |
| 成虫出現期 | 4~10月 |
観察と撮影後記
貯木場においては、他のカミキリムシが確認できないような状況下でも、本種のみは頻繁に観察される。極めて個体数の多い普通種ですが、森林内においてはその色彩が樹皮に同化するため、静止している個体を目視で発見するのは比較的困難です。
同属(Mesosa 属)には多くの近縁種が存在しますが、本種は種小名に「japonica」を冠しており、日本を代表するゴマフカミキリの一種と言えます。愛好家の間では「タダゴマフ(「ただの」ゴマフカミキリの意)」と呼称されることもありますが、その存在感は貯木場における生態系の主要な構成要素?と思えるほどです。
学名について
1. 属名および亜属名:Mesosa (メソサ)
この属名は、ギリシャ語の “mesos” (μέσος) を語源としています。
意味:「中間の」「中央の」を意味します。
由来:分類学上の位置付けや形態的特徴が、他の近縁グループの中間的な性質を示すことに由来すると考えられます。本種は亜属も共通の Mesosa に分類されます。
2. 種小名:japonica (ヤポニカ)
こちらはラテン語に由来します。
意味:「日本の」 という意味の形容詞です。
由来:日本で採集された個体に基づき、日本の固有種あるいは日本を代表する種として命名されました。
3. 命名者と年号:Bates, 1873
Henry Walter Bates (ヘンリー・ウォルター・ベイツ):19世紀のイギリスの昆虫学者・探検家です。アマゾンでの擬態の研究(ベイツ型擬態)で世界的に知られていますが、日本の昆虫相の研究にも多大な貢献をしました。記載文献:Bates, H. W. (1873) “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, series 4, vol. 12.
和名の由来
ゴマフ(胡麻斑) という名称は、その名の通り「胡麻(ごま)の斑点」を意味します。体表に微細な黒褐色の斑紋が散在する様子が、胡麻を振りかけたような模様に見えることに由来しています。
コメント