ドイカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科アラゲカミキリ族の一種です。小型で円筒形の地味な体が特徴とされています。主に林縁部や伐採枝が放置された環境で見られます。

基本情報
| 体長 | 6.0~8.5㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、伊豆諸島(新島)、佐渡、隠岐、四国、九州、五島列島(福江島)、対馬、千島列島、樺太 |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹およびマツ科 |
| 成虫出現期 | 4~10月 |
観察と撮影後記
ドイカミキリは、日本全国の里山や林縁部で比較的普通に観察される小型のカミキリムシです。本種は地域変異に富み、日本国内では計4亜種に分類されています。本記事で紹介した指名亜種のほかに、伊豆諸島に分布するイズドイカミキリ、奄美諸島のアマミドイカミキリ、そして八重山諸島に生息するヤエヤマドイカミキリが知られています。富士山周辺にはモミとトウヒを寄生する個体群がありますが、写真は富士山のものです。
学名について
ドイカミキリ / Mimectatina divaricata divaricata (Bates, 1884)
1. 属名:Mimectatina (ミメクタティナ)
この属名は、先行して記載されていた属名 Mimectes に、ラテン語の接尾辞 “-atina“(〜に似た、〜に関連する)を組み合わせたものです。Mimectes はギリシャ語の “mimētēs”(模倣者、擬態者)に由来します。これは、本属の昆虫が他の昆虫や環境に紛れ込むような姿をしていることを示唆しています。
2. 種小名:divaricata (ディワリカータ)
ラテン語の形容詞 “divaricatus“(二又に分かれた、股を広げた、大きく開いた)に由来します。これは、本種の斑紋の形状や、触角の基部の付き方、あるいは脚の形態的特徴を指して命名されたものと考えられます。
3. 指名亜種(Mimectatina divaricata divaricata)について
本種のように種小名と亜種名が重なるものは「指名亜種」と呼ばれます。これは、その種の中で最初に学名が記載された基準となるグループであることを示しています。
4. 命名者と年号:(Bates, 1884)
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者であり、擬態の一種である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: “Longicorn Beetles of Japan.” Journal of the Linnean Society of London, Zoology, 18: 205–262. (1884)
和名の由来
和名の「ドイ(土居)」は、日本の昆虫研究者または採集家である土居氏(Doi)に献名された属名 Doius Matsushita, 1933(現在は Mimectatina 属のシノニムとされる)に由来します。
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