ブチヒゲハナカミキリ / Stictoleptura (Stictoleptura) variicornis tsuyukii Fujita, 2018

ブチヒゲハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ族の一種です。その名の通り、触角が白と黒の斑模様になることが大きな特徴とされています。主に標高の高い山地の針葉樹林に生息し、夏場にはノリウツギなどの白い花に集まる姿がよく見られます。

ブチヒゲハナカミキリ、自然写真
ブチヒゲハナカミキリ、自然写真2
2019年8月 長野県松本市安曇
ブチヒゲハナカミキリ、自然写真3
ブチヒゲハナカミキリ、自然写真4
2019年7月 岐阜県高山市高根町
環境音のほうが優れているかもしれません。

基本情報

スクロールできます
体長14.6~21.6㎜
分布北海道、本州
食草・寄生植物等トドマツ、アオモリトドマツ、シラベ、アカエゾマツ
成虫出現期7~8月

観察と撮影後記

ブチヒゲハナカミキリは、亜高山帯の針葉樹林を代表するハナカミキリです。触角の各節が明瞭に色分けされる独特の色彩を持ち、山地の花上で見分ける際の大きな指標となります。幼虫は針葉樹の朽木を利用して育ち、成虫は晴天時に活発に訪花する姿が観察されます。なお、動画から鳥の声や川の流れなど生息域の環境が素晴らしい事も理解できると思います。

学名について

ブチヒゲハナカミキリ / Stictoleptura (Stictoleptura) variicornis tsuyukii Fujita, 2018

1.属名: Stictoleptura (スティクトレプチュラ)

ギリシャ語の「stiktos(στικτός:斑点のある、刺された)」と「Leptura(ハナカミキリ属)」の合成語です。本属の翅鞘や体表の点刻、あるいは模様の性質に由来すると考えられます。

2.亜属名: Stictoleptura

本種は属のタイプ種を含む指名亜属に分類されています。

3.種小名: variicornis (ワリイコルニス)

ラテン語の「varius(変化に富んだ、斑のある)」と「cornu(角、触角)」の合成語です。和名の「ブチヒゲ」と同様に、触角の色彩が節ごとに異なる特徴を指しています。

4.亜種名: tsuyukii (ツユキイ)

日本産亜種の命名者である藤田宏氏が、長年にわたり日本のカミキリムシ研究に貢献してきた露木繁氏に献名したものです。

藤田宏氏:

昆虫専門出版社であるむし社の元代表取締役であり、長年にわたり『月刊むし』の編集長を務めていました。主な著作には、『日本産カミキリ大図鑑』や『世界のクワガタムシ大図鑑』があり、いずれも当該分野における基礎文献として広く参照されています。さらに、多くの新種・新亜種の記載にも携わり、2018年にはブチヒゲハナカミキリの日本産亜種を記載するなど、分類学の発展に大きく貢献しています。

露木繁氏:

日本のカミキリムシ研究を長年にわたり牽引してきた研究者です。継続的なフィールド調査に基づく生態および分類学的研究で知られています。学会誌『Sayabane』および『ELYTRA』を通じた学術振興にも深く関わってきました。また、『カミキリムシの魅力』(築地書館)の共著者の一人として、研究成果の普及にも尽力されています。

個人的には、筆者が最も尊敬する虫屋のお一人です。生前に本サイトをご紹介できたことは、何よりの思い出となりました。なお、『カミキリムシの魅力』は1987年発行と知見に古さはあるものの、その内容は今なお気力に満ちたものとなっています。

藤田氏が2018年にブチヒゲハナカミキリの日本産亜種を記載した際には、露木氏の長年にわたる研究上の功績への敬意を込め、その名に由来する学名(tsuyukii)が付されています。なお、露木氏の名を冠した種は他にもトウカイヒメハナカミキリ(Pidonia (Pidonia) tsuyukii Kuboki, 1994)などが知られています。

5.命名者と年号: Fujita, 2018

命名者:藤田 宏(ふじた ひろし)。日本の昆虫学においてプロの編集者でありながら最高峰の専門家という稀有な立ち位置にいます。記載文献:『日本産カミキリムシ大図鑑(I)』(月刊むし・昆虫大図鑑シリーズ 10)

和名の由来

触角の各節基部が白化し、全体として斑模様に見えるという本種の最も顕著な識別点に基づいた命名であると推定されます。種小名の variicornis(斑のある角)とも意味内容が完全に一致しています。

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