ビロウドカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ヒゲナガカミキリ族の一種です。全身を覆う細かなビロード状の微毛が特徴とされています。雑木林や河川敷の広葉樹などによく見られます。


基本情報
| 体長 | 13.0 ~27.5㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、淡路島、家島本島(兵庫県)、宮島、飛島、粟島、佐渡、隠岐、冠島、四国、小豆島、下甑島、千島列島 |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹および針葉樹 |
| 成虫出現期 | 6~10月 |
観察と撮影後記
ビロウドカミキリは、日本全国に広く分布し、平地から高標高地まで極めて適応範囲の広い種です。寄主植物も多岐にわたり、各種広葉樹のほか針葉樹の記録も知られています。夜行性の傾向が強く、日中は寄主植物の葉裏や隙間に潜んでいますが、夜間は樹幹を歩行する姿や灯火に飛来する個体が頻繁に観察されます。
学名について
ビロウドカミキリ / Acalolepta fraudatrix fraudatrix (Bates,1873)
1.属名: Acalolepta (アカロレプタ)
ギリシャ語の「akalos(ἀκαλός:静かな、穏やかな)」と「leptos(λεπτός:細い、繊細な)」の合成語です。本属の形態が比較的細身で、落ち着いた(あるいは目立たない)色彩や質感を持つことに由来すると考えられています。
2.種小名: fraudatrix (フラウダトリクス)
ラテン語で「欺く者」「詐欺師」を意味する名詞「fraudator」の女性形です。命名者ベイツ(Bates)は、本種が他の近縁種(当時のMonochamus属など)と非常に酷似しており、分類上の混同を招きやすい性質を「欺く」と表現したものと解釈されます。なお、本種は日本に分布するものが基亜種(指名亜種)とされています。
3.命名者と年号: (Bates, 1873)
命名者:Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。記載文献: “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, Series 4, Volume 12: 308–318. (1873)
※原記載時は Monohammus fraudator として記載されましたが、その後の分類学的再検討により Acalolepta 属へ移行され、属名の語尾(女性名詞)に合わせて種小名も fraudatrix へ変更されました。
和名の由来
体表を覆う微細な毛が、光沢を抑えた「ビロード(天鵞絨)」のような質感に見えることに由来します。
コメント