ベニバハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ族の一種です。ハナノミ類に似た下向きに湾曲する特異な体型と、鮮やかな赤い上翅が大きな特徴とされています。多くは樹洞で見られます。


基本情報
| 体長 | 8.5 ~15.8㎜ |
| 分布 | 北海道、本州、御蔵島、四国、九州、対馬、屋久島 |
| 食草・寄生植物等 | カシ類、ケヤキ、エノキ、ヒメシャラ 内側の腐朽部を食べる |
| 成虫出現期 | 5~8月 |
観察と撮影後記
ベニバハナカミキリは、本州から屋久島にかけて分布するハナカミキリ族の一種で、どこかハナノミ類を思わせる独特の体型をしています。
本種との出会いは、駅へ向かう途中の何気ない観察から始まりました。ケヤキの小さな樹洞らしき箇所に注意を払っていたところ、5年越しとなる2018年5月、ようやく八王子でその姿を確認することができました。毎年の再会を楽しみにしていたのですが、残念なことに、その木は同年の冬に人為的に伐採されてしまいました。写真に関しては、「見つける年」と「撮影する年」が分かれることも多く、二年目は思うようにいかないことが少なくありません。
樹洞で観察しやすい種であることは分かったものの、ハナカミキリである以上、やはり花上での姿を撮影したいものです。そう思っていた折、栗の花で本種を見かける機会がありました。しかし、暗がりを好む性質のためか、花の外側ではなく内側へ潜り込む個体が多く、撮影は容易ではありません。私の腕では、なかなか思い通りの一枚を収めることができない、手強い被写体でした。色の変化については、パターン4まであって、詳しくは、日本産カミキリムシ大図鑑(むし社)をご覧ください。
学名について
ベニバハナカミキリ / Paranaspia anaspidoides (Bates,1873)
1.属名: Paranaspia (パラナスピィア)
ギリシャ語の「para( παρά:〜の近く、〜に似た)」と、甲虫の属名「Anaspis(ハナノミダマシ属)」の合成語です。本属の形態がハナノミダマシ属に酷似していることに由来します。
2.種小名: anaspidoides (アナスピドイデス)
「Anaspis(ハナノミダマシ属)」に、ギリシャ語由来の接尾辞「-oides(〜のようなもの、〜に似た形)」を組み合わせたものです。属名と同様、その外観的特徴を強調した命名となっています。なお、本種は日本に分布するものが指名亜種とされています。
3.命名者と年号:(Bates, 1873)
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。記載文献: “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, Series 4, Volume 12: 196. (1873) ※当初は Leptura 属として記載されましたが、後に Paranaspia 属へ移行されたため、命名者名に括弧が付されています。
和名の由来
上翅が「紅(ベニ)」色であり、かつて「羽(翅)」を「葉」に見立てる表現があったこと、あるいは赤い翅を持つハナカミキリであるという形態的特徴に基づいた命名であると推察されます。
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