アラメハナカミキリ/ Sachalinobia koltzei (Heyden, 1887)

アラメハナカミキリは日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科ハイイロハナカミキリ族のカミキリムシです。和名の「アラメ(粗目)」は、上翅(はね)や前胸の表面が網目状にザラザラした彫刻になっていることに由来します。

アラメハナカミキリ 樹上 自然
2018年6月  静岡県富士宮市
アラメハナカミキリ 自然 生態写真
2018年6月 静岡県富士宮市

基本情報

スクロールできます
体長12.0~19.0㎜
分布北海道、千島列島、本州(中部地方以北の標高が高い地域)
食草・寄生植物等幼虫:主にマツ科の針葉樹(モミ、シラビソ、トドマツ、コメツガ、カラマツなど)。
成虫:針葉樹の樹皮と推定。花にはほとんど来ないが、訪花する記録はあります。
成虫出現期5~7月

観察と撮影後記

薄暗い林内で、樹皮とよく似た体色をもつ本種を見つけるのは容易ではありません。実際には、わずかな動きによって初めて存在に気づくことがほとんどでした。活動期間も比較的短いため、せめてピントの合った写真を撮るまでに、採集記録を見ては現地を訪れることを7~8回ほど繰り返しました。

余談になりますが、学名に「サハリン(樺太)」を冠するカミキリムシは、なぜか私にとって縁遠い存在で、撮影までに数年を要することが少なくありません。

学名について

1. 属名:Sachalinobia(サハリノビア)

属名は「サハリン(樺太)」という地名に由来します。

  • 構成:Sakhalin(サハリン)+ 接尾辞 -bia(〜に属するもの、〜に住むもの)
  • 意味:「サハリンに住むもの」

本属がサハリンを含む北東アジアの冷温帯~亜寒帯の森林、とくに針葉樹林帯と関係が深いことを示唆する命名です。地理的分布を直接反映した、比較的わかりやすい属名といえます。

2. 種小名:koltzei(コルツェイ)

種小名は、ドイツの昆虫採集家 Wilhelm Koltze(ヴィルヘルム・コルツェ) への献名(エポニム)です。

  • 19世紀後半、コルツェはロシア極東(ウラジオストク周辺など)で精力的に昆虫採集を行いました。
  • その標本をもとに、当時の著名な昆虫学者 Lucas von Heyden(ルーカス・フォン・ハイデン) が新種として記載しました。

その功績を称え、採集者であるコルツェの名が種小名として残されています

3. 命名者と年号:(Heyden, 1887)

  • 命名者:Lucas von Heyden(ドイツの甲虫学者)
  • 記載年:1887年

学名の命名者が括弧付きで表記されるのは、現在の属名 Sachalinobia が、記載当時の属名から変更されていることを示します。初記載時には Rhagium 属など、別の属に置かれていた可能性があります。分類体系の見直しに伴い、後に現在の属へ移されたという経緯です。

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