アカネカミキリは日本に分布するカミキリムシ科スギカミキリ族のカミキリムシです。
前半部が赤色、後半部が黒色で、その境目に白い帯状の紋の配色は肉食のアリモドキカッコウムシに擬態しているそうです。

基本情報
| 体長 | 6.0 ~9.0㎜ |
| 分布 | 千島列島(国後島)、北海道、利尻島、奥尻島、本州、佐渡、四国、九州、対馬 |
| 食草・寄生植物等 | 幼虫: 枯れたつる植物(ヤマブドウ、ノブドウなどのブドウ類、サルナシ、フジなど)の材(内部) 成虫:植物の樹皮(未確認) |
| 成虫出現期 | 5~7月 |
観察と撮影後記
本種は一般に「普通種」とされることが多いカミキリムシですが、実際にはノブドウやサルナシの枯蔓といった限られた条件を意識して探さなければ、容易に出会える印象はありません。条件が揃った場所では複数個体が同時に見られることもあり、その様子から個体数が多いと感じられがちですが、分布は決して一様ではないように思われます。
普通種とされるがゆえに注目されにくい存在ではありますが、体色や斑紋はたいへん美しく、もし希少種として扱われていれば、評価は大きく異なっていたのではないかと感じさせられます。身近で見られるからこそ、改めてじっくり観察したいカミキリムシの一つです。
追記:擬態の可能性のある甲虫2種を紹介します。
学名について
属名:Poecillium
属名 Poecillium は、ギリシャ語の poikilos(まだらの、多彩な、変化に富んだ)に由来し、本属のカミキリムシに見られる色彩豊かな斑紋を表しています。
種小名:maaki
種小名 maaki は、19世紀ロシアの博物学者・探検家であるリチャード・マック(Richard Maack)に献名されたものです。彼はロシア極東からアムール川流域にかけて動植物の調査を行い、その名はミヤマカラスアゲハ (Papilio maackii) の学名にも残されています。
亜種名:viarium
亜種名 viarium は、ラテン語の viarius(道路の、路傍の)に由来します。命名者である Danilevsky(1988)は、本亜種がヤマブドウなど、道沿いの植生で確認されやすい点、あるいは模式産地の環境条件に着目してこの名称を与えたと考えられます。
また、リチャード・マックが調査を行ったアムール・ウスリー地域と、本種の分布域が重なる点も、この学名の背景として興味深い要素と言えるでしょう。
命名者:Danilevsky, 1988
旧北区(アジア・ヨーロッパ)のカミキリムシ科(Cerambycidae)における世界的な権威の一人
1988年の論文: アカネカミキリ(当時は属名が異なっていた可能性がありますが、現在の亜種名 viarium の記載)は、1988年に発表された論文「New and little-known species of longicorn beetles (Coleoptera, Cerambycidae) from the Far East(極東産のカミキリムシ科の新種および稀少種)」の中で発表されました。
専門分野: 特にカミキリムシの幼虫の形態学や、ロシアおよび旧ソ連圏の分類学において非常に高い功績を残しており、これまでに100以上の新タクサ(種や亜種)を記載しています。
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