コヨツスジハナカミキリ(和名別称ヤマトヨツスジハナカミキリ) / Leptura subtilis Bates, 1884

コヨツスジハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科ハナカミキリ族に分類されます。ヨツスジハナカミキリに似ますが、前脚の腿や上翅の様子から区別します。主に山地の広葉樹林や針広混交林に生息し、ブナ、クリなどの立ち枯れや、ノリウツギなどの白い花で観察できます。

コヨツスジハナカミキリ(ヤマトヨツスジハナカミキリ) 花上の自然写真1
コヨツスジハナカミキリ(ヤマトヨツスジハナカミキリ)の自然写真 2
2016年8月 埼玉県秩父市中津川
2022年7月 山梨県北都留郡

基本情報

体長15.4 ~21.0㎜
分布シデ類、ダケカンバ、ブナ、サワフタギ、ナツツバキ
食草・寄生植物等本州、九州
成虫出現期6~8月

観察と撮影後記

写真としては花が良いのですが、個人的には立ち枯れでよく見かけます。動画はクリの立ち枯れです。

和名については、古くから「コヨツスジハナカミキリ」とされてきましたが、近年は「ヤマトヨツスジハナカミキリ」という別称・改称が用いられるケースも見られます。なぜ「コ(小)」から「ヤマト(大和)」への呼称の変化、あるいは併記がなされるようになったのか、手元の資料では改称の経緯や理由についての明確な解説は見当たりませんでした。したがって、和名変更の背景についてのは詳細は未解明です。

学名について

1. 属名:Leptura(レプトゥーラ)

古代ギリシャ語で「細い」あるいは「薄い」を意味する “leptos” (λεπτός) と、「尾」を意味する “oura” (οὐρά) に由来します。ハナカミキリ類特有の、後方に向けて細くなる体型を示唆しています。

2. 種小名:subtilis(スブティリス)

ラテン語の形容詞で、「細い」「繊細な」「精巧な」を意味します。近縁種と比較して、体が細身であることや、形態が繊細であることを指したものと考えられます。

3. 命名者と年号:Bates, 1884

Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ):19世紀のイギリスの昆虫学者。アマゾン探検や「ベイツ型擬態」の提唱で知られます。彼は日本産の昆虫相についても精力的に研究を行いました。記載文献:Bates, H. W. (1884) “Longicorn beetles of Japan. Additions, chiefly from the researches of Mr. George Lewis, and notes on the synonymy, distribution, and habits on the previously known species.” Journal of the Linnean Society of London, Zoology, 18: 205–262.

和名の由来

「コヨツスジハナカミキリ」コ(小):近縁のヨツスジハナカミキリと比較して、体長が小型であることに由来します。ヨツスジ(四つ条):上翅にある4本の黄色い帯(スジ)模様に由来します。ハナカミキリ(花天牛):成虫が好んで花に集まる習性を持つグループ(ハナカミキリ亜科)であることを示します。

※「ヤマト」の冠称については、地理的分布(日本列島固有または主産地)を示す意図と推測されますが、命名の背景を断定する文献的根拠は本項の範囲内では「未解明」といたします。なお、本種の体長は15~21mm程度あり、ヨツスジハナカミキリ(13~20mm)とサイズがほとんど変わらない、あるいは本種の方が大型になる場合もあります。このため、実態にそぐわない名称を避け、日本固有の種であることを示す「ヤマト(大和)」を冠した名称が普及したと考えられます。

 

 

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする