オオハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科の一種です。和名に「オオ」と付く通り、他のハナカミキリ類に比べて上翅の幅が広く、がっしりとした太い体躯が特徴です。主にブナやモミなどの良好な落葉広葉樹林や針広混交林に生息します。

写真撮影と同時に以下の動画も撮りました。
基本情報
| 体長 | 15.9~21.6㎜ |
| 分布 | 北海道、本州 |
| 食草・寄生植物等 | 幼虫: ブナ、モミ、ツガなどの朽ち木 成虫: ノリウツギ、ショウマ類などの訪花、または樹液 |
| 成虫出現期 | 6~8月 |
観察と撮影後記
ハナカミキリの仲間はスマートな種が多いですが、本種はハナカミキリの仲間で特別に大きいというわけではないものの、実物を目にするとその上翅の幅広さに圧倒されます。この「太い」シルエットこそが本種の醍醐味であり、格好よさかもしれません。
今回の撮影は、35年前の古い記憶を頼りに現地へ向かいました。環境の変化に一度は諦めかけましたが、運良く再会を果たすことができました。
身近な高尾山にも生息しているそうですが、再会を楽しみにします。
学名について
オオハナカミキリ / Konoa granulata (Bates, 1884)
1.属名:Konoa(コノア)
この属名は、2つの要素を組み合わせて構成されています。
“Kono“:日本の昆虫学の先駆者であり、カミキリムシ研究にも多大な貢献をした河野廣道(こうの ひろみち)博士への献名です。
“-a”:ラテン語の接尾辞で、人名を属名にする際によく用いられる形です。
つまり、属名全体で「河野博士に捧げられたもの」という意味になります。
2.種小名:granulata(グラヌラータ)
こちらはラテン語の性質を強く反映した名称です。
“granulum“(グラヌルム):ラテン語で「小さな粒」「顆粒」を意味します。
“-ata“: 「~を備えた」「~を持つ」という意味を加える接尾辞です。
これらを合わせ、「(体表に)顆粒状の凸凹を持つもの」という意味になります。本種の前胸や上翅に見られる、独特のざらついた点刻(微細な穴や突起)が最大の特徴であることを強調した命名です。
3. 命名者と年号:(Bates, 1884)
Henry Walter Bates:19世紀のイギリスを代表する昆虫学者です。
アマゾン探検で「ベイツ型擬態」を発見したことで有名ですが、日本産の昆虫標本も数多く研究しました。1884年に本種を新種として記載しました。
学名に括弧がついているのは、発表当時は別の属(Leptura 属など)として記載され、後に現在の Konoa 属に移されたことを示しています。
補足
ベイツは、この虫を Leptura granulata という名前で発表しました。当時は「Leptura(ハナカミキリ属)」という大きなグループの一種だと考えられていたためです。この時点での表記:Leptura granulata Bates, 1884(括弧なし)
その後の研究によって、「この種は一般的な Leptura 属とは特徴が異なるため、独立した別のグループにするべきだ」と判断されました。そこで、河野博士にちなんだ 「Konoa(オオハナカミキリ属)」 が作られ、この種はそこへ移されました。
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