カクムネヒメハナカミキリは、日本に分布するハナカミキリ亜科ヒメハナカミキリ属(Pidonia属)の一種です。和名の通り前胸背板が角ばっており、四角形に近い形状を呈する点が、他の同属種と区別する際の重要な形態的特徴とされています。主に山地帯の落葉広葉樹林に生息し、日陰の多い林縁や下草付近で見られることが多いそうです。

基本情報
| 体長 | 7.5 ~11.7㎜ |
| 分布 | 本州(関東山地、八ヶ岳山塊、妙高山塊、南アルプス、中央アルプス、北アルプス南部~乗鞍岳、御嶽山) |
| 食草・寄生植物等 | 幼虫:広葉樹の枯死材(トウヒ、ダケカンバ)など。 成虫:訪花性がありナナカマド等の花に集まります。 |
| 成虫出現期 | 7~8月 |
注)ヒメハナカミキリ属(ピドニア)を写真のみで完全に同定することは、本来非常に困難です。本記事では図鑑の記述に加え、採集地や個体の雰囲気を総合して判断しておりますが、あくまで参考程度にご覧ください。もし明らかな誤りにお気づきでしたら、お手数ですが[こちらのメール]までご連絡いただけますと幸いです。ご協力に感謝いたします。
観察と撮影後記
ヒメハナカミキリ属(Pidonia)の多くは、日当たりの良い花上に飛来する個体が多い中、本種は「陰性(sciophilous:日陰を好む)」の性質が強いことで知られています。
実際の観察においても、小雨が上がった直後の午後3時頃、光量が減衰した時間帯に活動が確認されました。形態的には、和名の由来でもある角張った前胸が、他のヒメハナカミキリ類と比しても視覚的な識別点として際立っています。
学名について
属名:Pidonia(ピドニア)
語源はギリシャ語の「pidon(跳ねる、湧き出る)」に由来すると推測されます。
種小名:orientalis(オリエンタリス)
ラテン語で「東方の」を意味する形容詞です。
命名者と年号:Matsushita, 1933
日本の昆虫学者、松下眞幸(Matsushita Masayuki)によって1933年に記載されました。1933年に『日本産天牛科の研究(Beitrag zur Kenntnis der Cerambyciden des japanischen Reichs)』という記念碑的な論文を著し、カクムネヒメハナカミキリを含む数多くの新種を記載しました。
和名の由来
和名の「カクムネ(角胸)」は、前胸背板(胸部中央の節)の側縁が直線的で、角張った形状をしていることに由来します。「ヒメハナカミキリ」は、小型のハナカミキリ類(Pidonia属)を指す総称です。
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