ホソツツリンゴカミキリ / Oberea nigriventris Bates, 1873

ホソツツリンゴカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トホシカミキリ族の一種です。非常に細長い体型と、オレンジ色の頭部・前胸に対し、黒色の翅瓣(上翅)と黒い腹部を持つことが特徴とされています。山地の林縁など、イケマ・キジョラン・カモメヅル等のガガイモ科植物(ツル性)の植物の周辺で見られます。

ホソツツリンゴカミキリ、自然写真3
2021年7月  山梨県大月市大月町真木
ホソツツリンゴカミキリ、自然写真2
2020年8月 山梨県大月市大月町真木
ホソツツリンゴカミキリ、自然写真
2022年7月 新潟県妙高市

基本情報

体長9.0~18.0㎜
分布本州、四国、九州、対馬、屋久島
食草・寄生植物等イケマ、キジュラン、カモメヅル類
成虫出現期5~8月

観察と撮影後記

ホソツツリンゴカミキリは、本州から九州にかけて分布するトホシカミキリ族 リンゴカミキリ属の一種です。幼虫はイケマに寄生し、成虫もイケマの茎や葉を後食します。

生態的には、寄主植物であるイケマの新鮮な枝先や葉上に静止している姿が観察されますが、かつては比較的珍しい印象のある種でした。

しかし近年では、シカによる食害の影響でイケマが増加していること(イケマは有毒でシカが忌避するため)から、本種の発生環境も広がり、撮影機会が増えているように感じられます。

学名について

ホソツツリンゴカミキリ / Oberea nigriventris Bates, 1873

1.属名: Oberea (オベレア)

ギリシャ神話に登場するニンフの名前、あるいはシェイクスピアの『夏の夜の夢』に登場する妖精の王オベロン(Oberon)の女性形に由来すると考えられています。Mulsantによって1839年に命名されました。

2.亜属名: Oberea (オベレア)

本種は Oberea 属のタイプ種を含むグループに属するため、指名亜属である Oberea 亜属に分類されます。

3.種小名: nigriventris (ニグリヴェントリス)

ラテン語の「niger(黒い)」と「venter(腹)」の合成語です。本種の腹部が黒色であるという、分類学上の重要な識別形質を端的に表しています。なお、本種は日本に分布するものが指名亜種とされています。

3,命名者と年号

命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ) 1873年 19世紀イギリスの博物学者・昆虫学者。アマゾン川流域での11年に及ぶ調査から「ベイツ型擬態」を提唱し、チャールズ・ダーウィンの進化論を支える科学的証拠を提示しました。記載文献: “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, Series 4, Volume 12: 390. (1873)

和名の由来

体型が非常に細い(ホソ)こと、リンゴカミキリ属に属すること、そして翅瓣が筒状に見える形態に基づいた命名であると推察されます。 
 

ホソツツリンゴカミキリ、自然写真、近寄ると直ぐに飛び立つ事が多いなか、動かない個体がいました。近づくと蜘蛛がそばにいて、既に・・・でした。
2020年8月  山梨県大月市大月町真木

近寄ると直ぐに飛び立つ事が多いなか、動かない個体がいました。近づくと蜘蛛がそばにいて、既に・・・でした。

ホソツツリンゴカミキリ、自然写真、生態5
2024年7月 山梨県大月市大月町真木
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