キヌツヤハナカミキリは、日本(本州、四国、九州)に分布するカミキリムシ科ハナカミキリ亜科の一種です。上翅(鞘翅)に絹のような独特の微細な光沢を伴う朱赤色を呈します。ブナやミズナラなどの落葉広葉樹、その近隣の花上で観察できます。


基本情報
| 体長 | 12.4 ~16.8㎜ |
| 分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
| 食草・寄生植物等 各種広葉樹 | 各種広葉樹 幼虫:ブナ科(ミズナラ、ブナ、クヌギ、コナラなど)の広葉樹の枯死材や倒木。成虫は訪花性があります。 |
| 成虫出現期 | 6~8月 |
観察と撮影後記
本種は、上翅が鮮やかな朱赤色であり、それ以外の部位(頭部、前胸背板、触角、および肢)が黒色という、明瞭な色彩対比を持ち、野外での観察においても、光の入射角によって上翅の表面に微細な起毛による絹状の光沢が認められます。薄暗い森の中で見る姿は、本当に綺麗です。ただし、写真もそうですが、標本にするとちょっと残念な感じになります。

学名について
キヌツヤハナカミキリ / Corennys sericata Bates, 1884
1. 属名:Corennys(コレンニス)
この属名の語源については、以下の要素が組み合わさっていると考えられます。
“kore” (κόρη):ギリシャ語で「乙女」「瞳」あるいは「人形」を意味します。
“en-nys”:接尾辞的な構成ですが、昆虫の学名において優美さや形態的特徴を示す際に用いられる造語案の一つです。 属名全体として、ハナカミキリ亜科の中でも特に繊細で優美な姿を持つグループであることを示唆しています。
2. 種小名:sericata(セリカータ)
こちらはラテン語に由来します。
“sericatus“:ラテン語で「絹をまとった」「絹のように光る」という意味の形容詞です。 本種の最大の特徴である、上翅(鞘翅)の表面を覆う微細な起毛が放つ、しっとりとした絹のような独特の光沢を端的に表現しています。
3. 命名者と年号:Bates, 1884
Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ):19世紀のイギリスの昆虫学者・博物学者です。アマゾン探検での「ベイツ型擬態」の発見で有名ですが、日本産の甲虫類の研究にも多大な貢献を残しており、本種を1884年に新種として記載しました。
記載文献: Bates, H. W. (1884) “Longicorn Beetles of Japan. Additions, chiefly from the researches of Mr. George Lewis, and Notes on the Synonymy.” The Journal of the Linnean Society of London. Zoology, Vol. 18, Issue 103, pp. 205–262.
和名の由来
和名は、本種の上翅に絹(きぬ)のような光沢(つや)があるハナカミキリであることに基づいています。その質感の美しさが分類上の名称に直接反映されています。
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