シナノヒメハナカミキリは、日本(主に本州の中部地方など)に分布する、カミキリムシ科ハナカミキリ亜科ヒメハナカミキリ族の一種です。体長は10mm前後と小型で、上翅の黒色斑紋には個体変異が見られます。ブナ帯を中心とした山地帯の自然林に生息します。

基本情報
| 体長 | 7.0 ~10.7㎜ |
| 分布 | 本州(長野、山梨、静岡) |
| 食草・寄生植物等 | ダケカンバ、トウヒ |
| 成虫出現期 | 7~8月 |
注)ヒメハナカミキリ属(ピドニア)を写真のみで完全に同定することは、本来非常に困難です。本記事では図鑑の記述に加え、採集地や個体の雰囲気を総合して判断しておりますが、あくまで参考程度にご覧ください。もし明らかな誤りにお気づきでしたら、お手数ですが[こちらのメール]までご連絡いただけますと幸いです。ご協力に感謝いたします。
観察と撮影後記
今回の個体を確認したのは、山地帯の林内でも直射日光が遮られた日陰の葉上でした。多くのハナカミキリ類が日当たりの良い場所で訪花するのに対し、本種を含むヒメハナカミキリ属の中には薄暗い環境を好む傾向をもつものがいます。
学名について
シナノヒメハナカミキリ / Pidonia (Pidonia) suzukii Kuboki, 1982
1. 属名および亜属名:Pidonia (ピドニア)
語源:ギリシャ語の “piduo”(噴き出す、湧き出る)に由来するとされています。
意味:本属の昆虫が山間部の渓流沿いや湿り気のある場所で一斉に発生する様子、あるいはその軽快な動きを形容したものと考えられます。今回は指名亜属であるため、属名と亜属名が同一となります。
2. 種小名:suzukii (スズキィ)
語源:人名に由来します。
意味:日本の甲虫研究者である鈴木亘(Wataru Suzuki)氏に献名されたものです。特定の献名相手を示すラテン語の所有格形式をとっています。
3. 命名者と年号:Kuboki, 1982
命名者:久保木幹夫(Mikio Kuboki)氏。ヒメハナカミキリ属の分類において多くの新種を記載した日本の専門家です。記載文献:Kuboki, M. (1982) Notes on the genus Pidonia (Coleoptera, Cerambycidae) from East Asia. II. Elytra, Tokyo, 10(1): 7–14.
和名の由来
「シナノ」は信濃(長野県)に由来する地名的名称と解されますが、原記載において和名の命名意図が明示されているかについては確認できていません。「ヒメハナカミキリ」は小型のハナカミキリ類に広く用いられる通称的名称です。
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