ゴマダラカミキリは、日本全土に広く分布するカミキリムシ科フトカミキリ亜科ヒゲナガカミキリ族の一種です。光沢のある黒色の鞘翅に、不規則に散らばる白い斑紋が特徴です。触角は体長よりも長く、各節の基部が青白色を呈します。平地から低山地の広葉樹林に生息するほか、ミカン類、イチジク、クリなどの果樹園、公園、庭園など、食樹となる生木がある環境に広く見られます。

基本情報
| 体長 | 25~35㎜ |
| 分布 | 北海道、本州、四国、九州、沖縄 |
| 食草・寄生植物等 | 各種の針葉樹と広葉樹の生木 |
| 成虫出現期 | 5~10月 |
観察と撮影後記
カミキリムシの話題になると、本種を思い浮かべる方は少なくありません。黒地に白斑という明瞭な模様と大型の体サイズにより、日本のカミキリムシの代表種として広く認識されています。
本種は果樹害虫としてもよく知られ、カンキツ類、イチジク、ヤナギ類などを加害することが、日本産カミキリムシ図鑑や植物防疫資料に記載されています。幼虫は樹幹内部を穿孔し、木質部を食害します。発生地では防除対象種とされています。
分布については、日本各地に広がっていますが、造園木や苗木の流通に伴い分布域が拡大した事例が報告されています(植物防疫関連資料等)。現在では都市公園や庭木環境でも普通に確認されます。
学名について
ゴマダラカミキリ / Anoplophora malasiaca (Thomson, 1865)
1. 属名:Anoplophora (アノプロフォラ)
この属名は、ギリシャ語を語源とする言葉で構成されています。
“an-” (ἀν-): 否定の接頭辞で「~がない」を意味します。
“hoplon” (ὅπλον): 「武器」「盾」「鎧」、あるいは昆虫学的には「棘(とげ)」を意味します。
“phoros” (φορός): 「持つ」「運ぶ」「備える」を意味します。
意味: 属全体として「武器(棘)を持たないもの」を意味します。これは、近縁属と比較して前胸背板や前胸腹板突起に特定の棘状突起を欠く、あるいは目立たない特徴に由来すると解釈されます。
2. 種小名:malasiaca (マラシアカ)
語源: 「マレー(Malaya)」または「マレーシアの」を意味するラテン語的表現です。
背景: 本種の主な分布域は日本を含む東アジアですが、19世紀の記載当時の分類学的知見や標本の採取経緯に基づき、東南アジア方面を指すこの名称が与えられました。
3. 命名者と年号:(Thomson, 1865)
James Thomson: 19世紀フランスの昆虫学者。カミキリムシ科の分類において多大な功績を残しました。本種は1865年に発行された文献『Systema Cerambycidarum』において記載されました。Thomson, J. (1865) “Systema Cerambycidarum ou exposé de tous les genres compris dans la famille des Cérambycides et familles limitrophes.”
和名の由来
由来: 鞘翅(背中の翅)の黒い地色に、白い斑点が不規則に散らばる様子を「胡麻(ごま)」をまぶしたような「斑(まだら)」模様に見立てたことに由来します。
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