カッコウカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科アラゲカミキリ族カッコウカミキリ属の一種です。体長わずか3〜5mmと極めて小さく、カッコウムシ類に擬態した白帯模様が特徴です。山地の広葉樹林に生息し、伐採枝や枯れ枝(粗朶)の上で見られますが、非常に小さく見つけるのは困難です。


基本情報
| 体長 | 3.5~5.0㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、四国、九州、千島列島 |
| 食草・寄生植物等 | エゾマツ(マツ科)、サルナシ(マタタビ科)、ツルウメモドキ(ニシキギ科) |
| 成虫出現期 | 5~10月 |
カッコウカミキリ属としてはインドシナ、中国、台湾、日本にかけて15種ほどいるそうですが、日本にはカッコウカミキリ亜属とチビコブカミキリ亜属が分布します。
観察と撮影後記
カッコウカミキリは、その名の通りカッコウムシ科の昆虫に擬態した極めて微小なカミキリムシです。体長はわずか3〜5mm程度であり、体色も枯れ枝の質感に溶け込む隠蔽色(保護色)を有しています。そのため、薄暗い森の中でルッキング(目視)によって本種を探し出すのは、まさに偶然と言わざるを得ません。
学名について
カッコウカミキリ / Miccolamia (Miccolamia) cleroides Bates, 1884
1. 属名:Miccolamia (Miccolamia)
語源: ギリシャ語で「小さい」を意味する “mikros” (μικρός) [注: 接頭辞として micco-] と、フトカミキリ亜科の基幹属名である “Lamia” を組み合わせたものです。
本種はカッコウカミキリ属の模式的なグループである指名亜属に分類されるため、属名と亜属名が重なる表記Miccolamia (Miccolamia)となります。
亜属名も同一であり、フトカミキリ亜科の中でも特に小型のグループであることを示しています 。
2. 種小名:cleroides
語源: カッコウムシ属の属名である “Clerus” に、ギリシャ語由来の接尾辞で「〜に似た」「〜の姿をした」を意味する “-oides” (εἶδος) を加えたものです 。
「カッコウムシに似た姿のもの」を意味し、本種の最大の特徴である擬態を直接的に表しています。
3. 命名者と年号:Bates, 1884
命名者: Henry Walter Bates (1884)。
記載文献: Bates, H. W. (1884) “Longicorn beetles of Japan. Additions, chiefly from the researches of Mr. George Lewis.” Journal of the Linnean Society of London, Zoology, 18: 205-262.
※ 本論文は、19世紀の英国の昆虫学者ベイツが、ジョージ・ルイスによって日本各地で採集された標本を精査し、多くの新種を記載した記念碑的な著作です。
追記:飛べないカミキリ
Bates (1884), p.252:新属 Miccolamia を設立する際のラテン語記載において、”Alae nullae“(翅なし)と明記されています。つまり飛べないとされているのですが、図鑑等で見当たりません。調査不足で申し訳ありませんがご存じの方、ご連絡ください。
和名の由来
和名の「カッコウ」は、甲虫目カッコウムシ科のカッコウムシ(郭公虫)に由来します。本種が特定のカッコウムシに外見や行動が酷似していることから、この名が冠されました。参考:甲虫の自然図鑑:クロダンダラカッコウムシ
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