トラフホソバネカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ホソバネカミキリ族の一種です。上翅が非常に短く、腹部が露出したハチに似た独特の姿が特徴とされています。平地から山地のエノキやケヤキなどの枯れ木によく見られます。




基本情報
| 体長 | 9.0 ~28.0㎜ |
| 分布 | 北海道、奥尻島、本州、伊豆諸島(神津島、三宅島、御蔵島)、飛島(山形県)、冠島(京都府)、四国、沖ノ島(福岡県)、九州、対馬、三島村(黒島)、種子島、屋久島、口永良部島 |
| 食草・寄生植物等 | タブノキ、ホソバタブタ、イイギリ、アカメガシワ、ヤブニッケイ、ブナ、シイ類、ハルニレ、エゾエノキ、ムクノキ、カエデ類、サワグルミ、ハリエンジュなど |
| 成虫出現期 | 6~8月 |
観察と撮影後記
トラフホソバネカミキリは、カミキリムシ科ハナカミキリ亜科ホソバネカミキリ族に分類され、上翅が極端に短く腹部が露出した独特の形態を持つ種です。エノキやクヌギなどの広葉樹をホストとし、その伐採木などで活動する姿が観察されます。愛好家の間では属名に由来する「トラニュース」という愛称で親しまれている、非常に人気のあるカミキリムシです。
学名について
トラフホソバネカミキリ / Thranius variegatus variegatus Bates, 1873
1. 属名: Thranius (トラニウス)
古代ギリシャ語の「θρᾶνος (thranos)」に由来します。これは「腰掛け」「ベンチ」「足台」といった意味を持ち、本属の昆虫が静止している際の独特の姿勢や、細長い体型を何らかの台座に見立てたものと考えられます。
2. 種小名・亜種名: variegatus (ワリエガトゥス)
ラテン語で「斑(ふ)入りの」「多様な色の」「斑紋のある」という意味の形容詞です。上翅に見られる黄褐色の複雑な斑紋(トラフ模様)を表現しています。
本種は Thranius variegatus variegatus と表記される指名亜種です。これは、種として最初に記載された標本(タイプ標本)が属する個体群であることを示しており、種小名と亜種名が重なる形式をとります。
3. 命名者と年号: Bates, 1873
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者であり、擬態の一種である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: “On the Longicorn Coleoptera of Japan.” The Annals and Magazine of Natural History, (4) 12: 196. (1873)
和名の由来
「トラフ(虎斑)」は上翅の斑紋が虎の模様に似ていること、「ホソバネ(細翅)」は上翅の先端が細く尖っていることに由来します。
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