トビイロカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トビイロカミキリ族の一種です。和名の通り、赤褐色の細身な体躯と、広葉樹林に生息し、日中はミズキ、ナナカマドなどの白い花でみることができ、夜間は灯火にも飛来します。


基本情報
| 体長 | 11~20㎜ |
| 分布 | 本州、佐渡、冠島、隠岐、四国、九州、対馬、下甑島、種子島、屋久島、トカラ列島(中之島) |
| 食草・寄生植物等 | 各種広葉樹 特にクスノキ科を好む |
| 成虫出現期 | 4~8月 |
観察と撮影後記
トビイロカミキリという和名は、その体色である「鳶色(赤褐色)」に由来します。
高校生の頃に読んだ小説に「鳶色の瞳の少女、船出しよう……」というフレーズがありました。髪の色なら分かりますが、瞳にその色を当てはめるのは想像がつかず、「瞳」ではなく「髪」の誤記ではないかと思ったものです。改めて調べてみると、「混じりけのない澄んだ瞳」という意味合いがあるそうで、さらに掘り下げると、鳶色には実際のところ正確な定義は存在しないようです。
学名について
トビイロカミキリ / Allotraeus sphaerioninus Bates, 1877
1. 属名(および亜属名): Allotraeus (アロトラエウス)
本属は指名亜属である Allotraeus (Allotraeus) に分類されます。
語源: ギリシャ語の “allos” (ἄλλος) 「他の」「異なる」に由来します。近縁とされた属(Sphaerion等)に対して「異なる形態を持つもの」という意味合いで命名されたと考えられます。
2. 種小名: sphaerioninus (スファエリオーニヌス)
語源: カミキリ亜科の属名である “Sphaerion” に、ラテン語の接尾辞 “-inus” 「~に属する」「~のような」を組み合わせたものです。
背景: 本種が記載された当時、南米などに分布する Sphaerion 属に外見が酷似していたことから、「Sphaerion属のような(姿をした)」という意味で命名されました。
3. 命名者と年号: Bates, 1877
命名者: Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者で、アマゾンでの調査に基づき「ベイツ型擬態」を提唱したことで知られます。記載文献: “Three new Genera of Longicorn Coleoptera from Japan.” The Entomologist’s Monthly Magazine, 14: 37–38. (1877)
和名の由来
トビイロ(鳶色): トビ(鳥類)の羽の色のようであることから。本種の体色が赤褐色であることを示しています。
コメント