トゲヒゲトラカミキリ / Demonax transilis Bates, 1884トゲヒゲトラカミキリ

トゲヒゲトラカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トラカミキリ族の一種です。前胸背板が縦長で、その中央に1対の暗色円紋が特徴とされています。広葉樹の伐採木や各種の花の上などによく見られます。

トゲヒゲトラカミキリ、自然写真1
2022年 東京都八王子市高尾山
トゲヒゲトラカミキリ、自然写真2
2015年4月 東京都町田市

基本情報

スクロールできます
体長8.0~11.5㎜
分布北海道、焼尻島、奥尻島、本州、佐渡、伊豆諸島(大島)、隠岐、四国、九州、対馬、屋久島
食草・寄生植物等各種広葉樹、スギなどの針葉樹
成虫出現期4~7月

観察と撮影後記

トゲヒゲトラカミキリは、トラカミキリ族の中でも特にスリムな体型を持つ種です。前胸背板が縦長で、その中央に1対の暗色円紋を持つのが特徴なので、写真からの同定には非常に助かります。広葉樹の枯死材や花上で、掲載した動画のように慌ただしく動き回る様子が観察されます。観察した限りではトラカミキリの中でもっとも普通種です。

学名について

トゲヒゲトラカミキリ / Demonax transilis Bates, 1884

1. 属名: Demonax (デモナクス)

ギリシャ語の男性名「Dēmōnax(デーモナクス)」に由来します。これは、紀元前2世紀頃のキプロス出身の哲学者デーモナクスの名としても知られています。昆虫の属名として献名または引用されたものですが、分類学的な意味(形態的特徴)を直接示す語源ではありません。

2. 種小名: transilis (トランシリス)

ラテン語の「transilio(飛び越える、通り過ぎる)」に由来する形容詞です。昆虫の軽快な動きや、斑紋の配置などが「横切っている」様子を示唆していると考えられます。本種は日本に分布する個体群が基名亜種(指名亜種)となるため、亜種名は Demonax transilis transilis と重なる構成になります。

3. 命名者と年号: (Bates, 1884)

命名者:Henry Walter Bates(ヘンリー・ウォルター・ベイツ)。19世紀のイギリスの博物学者であり、擬態の一種である「ベイツ型擬態」の提唱者としても知られます。記載文献: “Longicorn Beetles of Japan.” Journal of the Linnean Society of London, Zoology, 18: 205–262. (1884)※本種は同論文の252ページにおいて記載されています。

和名の由来

「トゲ(刺)」のある「ヒゲ(触角)」を持つ「トラカミキリ」という意味です。触角の第3・第4節にある鋭い刺状の突起が、他種と区別する際の決定的な特徴であることに基づいるそうです。ただし、普通は前胸背板の中央にある1対の暗色円紋で同定しています。

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