ツマグロヒメハナカミキリ / Pidnia (pidonia) maculithorax Pic,1901

ツマグロヒメハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ヒメハナカミキリ族の一種です。上翅の先端が黒く染まる独特の色彩が特徴とされています。山地から亜高山帯にかけての各種訪花植物の上でよく見られます。

ツマグロヒメハナカミキリ、自然写真1
ツマグロヒメハナカミキリ、自然写真2
2019年7月  山梨県大月市大月町真木

基本情報

体長8.5~11.6㎜
分布本州(関東地方、中部地方南部、紀伊山地、氷ノ山)
食草・寄生植物等未知
成虫出現期6~8月

注)ヒメハナカミキリ属(ピドニア)を写真のみで完全に同定することは、本来非常に困難です。本記事では図鑑の記述に加え、採集地や個体の雰囲気を総合して判断しておりますが、あくまで参考程度にご覧ください。もし明らかな誤りにお気づきでしたら、お手数ですが[こちらのメール]までご連絡いただけますと幸いです。ご協力に感謝いたします。

観察と撮影後記

ツマグロヒメハナカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科ヒメハナカミキリ族の一種です。上翅の先端が黒く、前胸に斑紋を持つのが特徴です。本種は山地においてごく一般的に見られる普通種でありながら、幼虫が育つ寄生植物が依然として未知であるという、まさに「ピドニアらしさ」を体現する存在と言えるでしょう。

学名について

1.属名および亜属名:Pidonia (ピドニア)

語源はギリシャ語の「$\pi\eta\delta\alpha\omega$」(pidao:跳ねる、湧き出る)に由来すると考えられています。これは、本属の昆虫が花の上などで活発に動き回る様子、あるいは個体数が非常に多く「湧き出る」ように出現する生態を示唆していると解釈されます。

2.種小名:maculithorax (マクリソラックス)

ラテン語の「macula」(斑点、斑紋)と「thorax」(胸部、前胸背板)を組み合わせた合成語です。本種の典型的な個体の前胸背板に暗色の斑紋が見られる特徴を的確に表しています。

【指名亜種および亜属名の重複について】

本種は Pidonia 属のタイプ種を含むグループに属するため、亜属名にも同じ Pidonia が適用され、Pidonia (Pidonia) maculithorax と表記されます。これは分類学上のルール(国際動物命名規約)に基づき、属を細分化した際に、その属の模式種を含む亜属には属名と同一の名称を冠すること(指名亜属)に定められているためです。

3.命名者と年号:Pic, 1901

命名者:Maurice Pic(モーリス・ピック)。19世紀から20世紀にかけて活動したフランスの昆虫学者であり、生涯で約2万種以上もの甲虫を記載したことで知られます。記載文献: “Notes diverses et diagnoses.” L’Échange, Revue Linnéenne, 17: 33–36. (1901)

和名の由来

「ツマグロ(褄黒)」は、上翅の先端部分が黒いことを指します。古語や着物の用語で端を意味する「褄(つま)」が黒いハナカミキリであることから名付けられました。

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