チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ/ Mesechthistatus furciferus meridionalis (Hayashi,1951)

チュウブマヤサンコブヤハズカミキリは、日本に分布するカミキリ亜科コブヤハズカミキリ族の一種です。後翅が退化して飛ぶことができず、山間部のブナ林などの林床で枯れ葉に紛れて生息しているのが特徴です。中部地方の山岳地帯で見ることができ、その渋い色彩と独特の造形美から愛好家に人気です。

チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ、後食の様子
2019年7月 長野県北安曇郡小谷村 後食中
チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ、自然写真
あまりに寄りすぎて、邪魔してしまい、食事を中断したところです

基本情報

スクロールできます
体長14.0~23.0 ㎜
分布新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県、兵庫県、京都府、滋賀県、鳥取県
食草・寄生植物等ブナ、コナラ、トチノキ、ハンノキ、ヤナギ類、トネリコ類
成虫出現期8~11月

観察と撮影後記

本種が属するマヤサンコブヤハズカミキリは、兵庫県摩耶山を基準産地(タイプ産地)として記載されました。本種は、中部地方の山岳地帯に分布し、上翅末端の鋭い突起が特徴的な個体群です。森の隠者と呼ぶマニアもいるそうです。撮影地では普通に歩行中の個体をみることができました。かなりの数が発生しているようでした。

学名について

チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ / Mesechthistatus furciferus meridionalis (Hayashi,1951)

1. 属名:Mesechthistatus (メセクティスタトゥス)

本属は、近縁な属である Echthistatus に、ギリシャ語で「中間」を意味する接頭辞 “meso-” が組み合わされたものです。分類学的な位置付けとして、他のコブヤハズカミキリ類の中間的な特徴を持つことを示唆しています。

2. 種小名:furciferus (フルキフェルス)

ラテン語の “furca“(二又のフォーク、矢筈)と “fero“(持つ、運ぶ)に由来します。これは、本種の上翅末端が二又に分かれた「矢筈状」になっている形態的特徴を的確に表した命名です。

3. 亜種名:meridionalis (メリディオナリス)

ラテン語で「南方の」を意味する形容詞です。本亜種が、基本種(指名亜種)に対して、分布域の特定の方向(本件では中部地方のより南寄りや内陸側の個体群を指す文脈)を区分するために用いられています。

4. 命名者と年号:(Hayashi, 1951)

命名者: 林 匡夫(Masao Hayashi)。20世紀の日本を代表するカミキリムシ研究家であり、日本産カミキリムシの分類体系構築に多大な貢献をしました。記載文献: “Studies on the Cerambycidae of Japan (I)”. The Entomological Review of Japan, Vol. 5, No. 2, pp. 75–82. (1951)

和名の由来

「マヤサン(摩耶山)」は本種が初めて発見・記載された地名に由来します。「コブヤハズ」は、上翅にコブ状の隆起があり、末端が矢筈(弓矢の弦をかける部分)のように二又になっている形態を表しています。これに分布域を示す「チュウブ(中部)」が冠されています。

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