キイロトラカミキリは、日本に分布するカミキリムシ科トラカミキリ族に分類される一種です。和名の通り鮮やかな黄色から黄褐色の地色に、複雑な黒紋を持つのが特徴です。平地から低山地の広葉樹林や、その周辺の里山環境に広く生息し、クリなどの花によく集まります。

基本情報
| 体長 | 12.5~19.6㎜ |
| 分布 | 本州、伊豆諸島(大島)、冠島、隠岐、四国、九州、対馬、五島列島(宇久島)、種子島、屋久島 北限は秋田市 |
| 食草・寄生植物等 | 幼虫:ブナ科(クヌギ、コナラ、クリ、アベマキなど)の枯死材や伐採木 成虫:顕著な訪花性を示し、クリ、カエデ類、ノリウツギなどの花の蜜や花粉 |
| 成虫出現期 | 5~8月 |
観察と撮影後記
本種は日本国内のトラカミキリ族の中でも、最も普通に観察される種の一つです。しかし、その活動性は非常に高く、静止している時間は短いのが特徴です。特に日光が当たる伐採木の上や花の上では、ハチのように素早く歩き回り、危険を察知すると即座に飛翔して逃走します。
成虫の出現期は5月から8月にかけてで、特に梅雨入り前のクリの花が満開になる時期に個体数が多く見られます。身体の模様は個体変異が少なく安定していますが、地色の黄色味の強弱には若干の差が認められます。ハチに擬態するトラカミキリ族特有の「警戒色の紋様」と「敏捷な動き」という特徴を顕著に備えた種と思われます。
学名について
キイロトラカミキリ / Grammographus notabilis notabilib (Pascoe,1862)
1.属名:Grammographus
ギリシャ語を語源としています。
“gramma”: 「線」「文字」「書き込まれたもの」を意味します。
“graphos”: 「書く」「描く」を意味します。
合わせて、上翅に描かれた複雑な紋様(線)を表現しています。
2.種小名:notabilis
ラテン語に由来します。
“notabilis“: 「注目すべき」「顕著な」「有名な」という意味の形容詞です。その際立った色彩や紋様を指しています。
3.命名者と年号:(Pascoe, 1862)
Francis Polkinghorne Pascoe:19世紀のイギリスの昆虫学者。
記載文献:Pascoe, F. P. (1862). “Notices of new or little-known genera and species of Coleoptera. Part III.” Journal of Entomology, 1: 319-370.
和名の由来
「キイロトラカミキリ」キイロ(黄色):成虫の体色が鮮やかな黄色、あるいは黄褐色であることに由来します。トラカミキリ(虎天牛):トラカミキリ族(Clytini)に属し、トラのような黄色と黒の縞模様を持つ特徴からきています。
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