キベリカタビロハナカミキリ / Pachyta erebia erebia Bates,1884


2015年7月 埼玉県

体長 14~22㎜
分布 本州(中部山脈)、九州(中部山脈)
食草・寄生植物等 モミ、オオシラビソ、ツガ、トウヒ、カラマツ
成虫出現期 6~8月

学名からとった、パキタという愛称で有名です。

虫屋なら誰でも読んでいる「北杜夫氏の「どくとるマンボウ昆虫記」では

※ 以下引用

二人ともカミキリムシに熱をあげているとこんな具合になる。
一方が採集旅行から戻ってくる。
ニコニコしている。
奴め、なにか珍種をとったな、
ともう一方はやっかむが尋ねずにいられない。

「なにか獲物がありましたか?」

「なにね、ほんのちょっと。ウフフ」
「一体なんです?」

「なにね、珍しくもないキベリカタビロハナカミキリですよ」
こちらはドキリとする。
自分も前々から欲しいと思っていた種類なのだ。

「キベリですって?一匹ですか」
「なにね、五匹ばかり。ウフフ」
「五匹!」と、こちらはうなる。
それから自尊心をおしころして、猫撫声をだす。
「そいつはすばらしい。ところで..お裾わけにあずかれるでしょうな」
「ひとつは上翅がすっかり黄色になっている例のクサマイという変種なんです。
もう一つは亜種タマヌキイらしい。
おまけにほかの三匹もそれぞれ中間型なんです。
個体変化を調べたいので残念ながら...」

引用の中で、クサマイ・・とかタマヌキイ・・というのは、上翅に基本的に3つの斑紋パターンがあり、写真は(小さすぎて分かりつらいですが)通常のもので、それ以外の2つの斑紋パターンです。
これを揃えていないと、特にカミキリを集める虫屋にとっては、気持ち悪いわけですが、集めるのは、それなりに大変です。

なお、クサマイ、タマヌキイとは、草間氏、玉貫氏の名前からですが、その昔、亡草間氏と一度だけ、採集を共にした事がありますが、懐かしいです。